カーボンフットプリントとは?算定方法からメリット、取り巻く動向まで                ~今、確認したい基礎知識~

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目次[非表示]

  1. 1.カーボンフットプリント(CFP)とは
  2. 2.算定方法
    1. 2.1.算定方針の検討
    2. 2.2.算定範囲の設定
    3. 2.3.CFPの算定
    4. 2.4.検証・報告
    5. 2.5.CFP算定のメリット
  3. 3.CFPを取り巻く動向
  4. 4.まとめ

カーボンフットプリント(CFP)とは

GHG排出量の削減施策を具体的に考えるときに、カーボンフットプリント(CFP:Carbon Footprint of Product)があります。自社の製品・サービスのGHG排出量を可視化する方法です。取引先から求められるケースが増え、CFP算定の取り組みを検討されている企業もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
CFPは、製品やサービスの原材料の調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される GHG 排出量をCO2 排出量に換算し、算定します。



算定方法

算定にあたって、2023年に経済  産業省と環境省から公表された「カーボンフットプリント ガイドライン」が参考になります。「実践ガイド」とその解説資料は、2024年3月にアップデートされました。算定のステップを確認しましょう。


算定方針の検討

まず、算定方針を検討します。具体的には算定の目的、算定後の用途を明確にします。そして、目的や用途に沿って、算定時に参照するルールを決めます。

▼具体的な事例をもとに学びたい方はこちらの記事も参照ください。

  事例に学ぶ、カーボンフットプリント(CFP)算定のメリット/インタビュー 2023年に当社がCFPの算定支援をさせていただいた、株式会社加平の代表取締役社長田所氏にCFP算定のきっかけや進め方、メリット・デメリットなどをお聞きしました。 booost technologies



一部の業界や製品においては、すでに算定ルールが定められている場合もあるので、それらを参照しながら算定を進めます。そうでない場合、一般的には、ISO や GHGプロトコル、「カーボンフットプリント ガイドライン」を参照しながら算定します。

こうした算定ルールやガイドラインには解釈の余地のある部分や、明記されていない部分もあるため、算定企業自身が独自に算定方法を設定する必要もあります。そのような点がCFP算定を進める企業や実務担当者にとって障壁の一つになっています。


算定範囲の設定

次に、算定範囲を設定します。対象製品のライフサイクルを構成するプロセスのうち、原材料の調達から生産・出荷までのCradle to Gateを範囲とすべきか、原材料の調達から廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体を含めたCradle to Graveとするかを検討します。

カットオフ基準(算定から除外する物質もしくはエネルギーの量、または単位プロセスもしくは製品システムにかかわる除外する際の要件や判断基準)の検討も行います。


CFPの算定

算定方針と範囲を決めたのち、各プロセスのGHG排出量(及び除去・吸収量)の算定を進めます。各プロセスの排出量を合算することでCFPが算定できます。調達した原材料の使用量や、生産時の電力消費量などの活動量を収集し、各活動量に対応する排出係数を定め、それらを掛け合わせて排出量を算定します。

活動量については、一次データの収集が望ましいですが、複雑な場合はシナリオを設定し対応することも可能です。排出係数については一次データの収集が望ましいですが、難しい場合は二次データを活用します。
 
<参考>
・一次データ:製品システム内で実際に取得されたデータに基づく計算から得られるプロセス、活動、排出係数の定量化された値を指します。サプライチェーンの上流における排出の一次データを入手するためには、サプライヤーから排出量データの提供を受ける必要があります。
・二次データ:一次データの要件を満たさないデータを指します。例えば、外部データベースや論文等の同一製品カテゴリー・プロセスのデータ、代理データ(外挿・スケールアップ・カスタマイズ)があります。


検証・報告

最後に、データの収集方法や算定ロジックなどの再確認を行い、算定結果を整理します。二次データを用いた場合は、その説明を記載します。
 
 このように、算定にあたっては参照するルールの記載内容を理解し、自社製品の原材料や生産工程を把握し、プロセスごとに必要な活動量と排出係数を調査・特定する作業が必要です。
 
また、CFPの数値を出して終わりとせず、指標の一つとして継続的にモニタリングすることが重要です。CFPを算定する過程で得た情報を、排出削減施策として実行に移し、その成果をまたCFPの算定でモニタリングしていきます。


CFP算定のメリット

算定のハードルがある一方、CFP算定の関心は高まり続けています。
 
CFP算定のメリットとして、自社製品・サービスの排出量や削減活動の効果を可視化できることに加え、取引先から要求される前に着手することで、他社との差別化に活用できることが挙げられます。

自社製品のサプライチェーン上で、優先的に排出削減に取り組むべき工程が理解でき、効果的な排出削減施策の検討や、 排出削減効果をモニタリングすることが可能になります。
 
低炭素製品・サービスが市場から求められており、それを測る指標としてCFPによる排出量の可視化が必要とされています。今後は、消費者はもちろん政府や企業のグリーン調達方針によって、CFP表示が購買行動に影響する可能性があります。
 
▼CFP算定事例のインタビュー記事はこちら
算定のメリット/デメリットについて、詳しくお聞きしました。

  事例に学ぶ、カーボンフットプリント(CFP)算定のメリット/インタビュー 2023年に当社がCFPの算定支援をさせていただいた、株式会社加平の代表取締役社長田所氏にCFP算定のきっかけや進め方、メリット・デメリットなどをお聞きしました。 booost technologies




CFPを取り巻く動向

サプライチェーン全体の排出量を開示する流れの中で、バイヤーが取引先に納入製品・サービスのCFPを求める動きが増えています。
 
特にグローバル企業では、脱炭素・低炭素製品の調達活動が進んでいます。米国ではCFPを活用した公共調達、EU域内ではCBAMや電池規則といったCFPに関する規制も開始されています。

  欧州電池規則とは?背景から要求事項まで簡単解説 欧州連合(EU)では2023年8月、従来の電池指令を強化するため、「欧州電池規則」が発効され、2024年2月から適用することが発表されました。本規則は、規模や所在に関わらず、電池をEUで流通する全ての事業者に適用される規則であり、EU域内で使用されるあらゆる種類の電池が対象で、環境負荷を最小限に抑えることを目的としてライフサイクル全般に関する規制が提案されています。 booost technologies



まとめ

カーボンフットプリントの算定について、取引先から求められる前に着手することをお勧めします。国内では「カーボンフットプリント ガイドライン」を踏まえた動向を注視しましょう。

CFPは、消費者をはじめ公共調達などの購買行動に影響する可能性があり、特に以下の取組みが期待されています。

  • 国内CFPルール等の環境整備
    製品別算定ルールの策定、一次データの利活用拡大に向けた動きが検討されています。
  • グリーン調達の仕組みの構築
    公共調達におけるグリーン製品について判断基準やその算定方法が検討されています。
  • 中小企業を中心とした取組みの支援
    算定のハードルを下げるために、広く活用できる二次データベースの提供などが検討されています。 


※ライフサイクルアセスメントを学びたい方はこちらの記事も参照ください。

  ライフサイクル・アセスメント(LCA)におけるCradle-to-Gateとは? ライフサイクル・アセスメント(LCA:Life Cycle Assessment)とは、製品やサービスの環境への影響を評価するための一連の手法です。環境評価の範囲は製品やサービスのライフサイクル全体を対象にしています。一般的には以下の段階が考慮されます。 booost technologies


 
出典:経済産業省、環境省「カーボンフットプリント ガイドライン」(2023年3月)
第1部 CFP20230703_001.pdf (env.go.jp)
第2部 CFP20230703_002.pdf (env.go.jp)
Microsoft PowerPoint - 230912【経済産業省】CFP政策の動向.pptx (meti.go.jp)

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