カーボンオフセットに使えるJ-クレジット

J-クレジットとは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用、適切な森林管理によるCO2等の排出削減量や吸収量を「クレジット」として日本国が認証する制度です。この制度を活用することで、法令対応やイニシアティブへの報告、カーボンオフセットなどの様々な用途に用いることが可能です。

主な活用例

  • 温対法・省エネ法への報告
  • CDP,SBTi,CORSIA等イニシアティブへの報告
  • RE100の目標達成
  • カーボンオフセット(例:2023東京オリンピック

J-クレジット、海外ボランタリークレジット、国内外の電力証書など各種証書・クレジットの代理調達、無効化代行、事業の付加価値向上につながるオフセット対応のご提案など、オフセット全般に関するサービスについての資料はこちらからダウンロード頂けます
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目次[非表示]

  1. 1.J-クレジット制度参加者の役割
  2. 2.J-クレジット利用者のメリット
  3. 3.J-クレジットの発行手順
  4. 4.発行までの流れ
  5. 5.プログラム型プロジェクトについて
  6. 6.J-クレジットの取引方法
    1. 6.1.1.相対取引
    2. 6.2.2.プロバイダ等による売買仲介
    3. 6.3.3.入札取引/東証での市場取引(2023/1にて実証実験終了)
  7. 7.J-クレジットの課題点
  8. 8.まとめ


J-クレジット制度参加者の役割

J-クレジット制度参加者の役割は次の通りです。

名称
役割
具体例

管理者

プロジェクトの登録や認証を行う

経済産業省、環境省、農林水産省

J-クレジット創出者

プロジェクトを立ち上げ、クレジットを生み出す人

企業、自治体、農業者 etc.

J-クレジットプロバイダ

売買代行、償却代行

仲介業者

J-クレジット購入者

創出者がつくりだしたクレジットを購入する人

企業、自治体 etc.


J-クレジット利用者のメリット


J-クレジット利用者のメリットは次の通りです。

名称
メリット

J-クレジット創出者

  • 省エネや創エネによるランニングコストの低下
  • クレジット売却による利益 ・環境問題に関心が高い会社としてのPR効果
  • クレジット売買に伴う、新たなネットワークの構築


J-クレジットプロバイダ

売買代行による手数料収益

J-クレジット購入者

  • カーボンオフセットへの利用
  • 環境問題に関心が高い会社としてのPR効果
  • 企業としての評価向上
  • クレジット売買に伴う、新たなネットワークの構築



J-クレジットの発行手順

クレジットの認証/発行には、プロジェクトの登録とモニタリングが必要です。
また一連の登録作業にはJ-クレジットのレジストリである、「J-クレジット登録簿システム」を利用する必要があり、口座開設が必要です。

参考:J-クレジット制度パンフレット


発行までの流れ

  1. プロジェクト登録
    1. 「どんなCO2排出削減/吸収事業(省エネ設備の導入、森林管理等)を実施するか」を記載した計画書を作成し提出
    2. 審査機関によるプロジェクト計画書の妥当性確認
    3. プロジェクト登録申請、有識者委員会での諮問、国による正式な登録
  2. モニタリング
    1. プロジェクト計画書に基づき、排出削減量/吸収量を算定するモニタリングと報告書の作成
    2. 審査機関によるモニタリング報告書の検証
  3. クレジットの認証・発行
    1. 有識者委員会の諮問後、認証を受ければ国がクレジットを発行

上記のようにプロジェクトを登録しモニタリングすることでクレジットを発行できます。しかし一つ一つプロジェクトを登録したり、大規模なクレジットを発行できないのに上記のコストを払うことが大変なので、この問題を改善するためにプログラム型プロジェクトという方法が存在します。

プログラム型プロジェクトについて

プログラム型プロジェクトは、小規模な削減活動を取りまとめて一括でJ-クレジットを創出する方法です。「プログラム型運営者・管理者」と「会員」が存在し、会員の持つプロジェクトを運営者・管理者が代理で運用管理することによりクレジットを創出します。

参考:J-クレジット制度パンフレット


J-クレジットの取引方法

J-クレジットの取引方法は主に3つあります。

1.相対取引

相対取引はOTC(Over the counter)取引とも呼ばれ、取引市場を通さずに、当事者同士で価格、数量等の条件を取り決め売買を行う方式です。取引所を通さないので、価格変動リスクの影響を受けないというメリットはありますが、取引相手によって価格を変えたり、情報格差によって取引所取引よりも非常に高い価格で取引が行われることもあります。また、取引内容が公表されないので、取引の全容がつかみにくく、取引所取引にと比べ透明性、公平性に欠けるという問題点があります。
現状J-クレジットはこの方式の取引が主流です。

2.プロバイダ等による売買仲介

J-クレジット・プロバイダー(以下プロバイダ)とは、J-クレジット制度に基づき認証されるクレジットの創出や活用の促進を目的として、クレジットの創出及び活用を支援できる事業者を指します。プロバイダとしての登録等はJ-クレジット制度事務局にて行われており、以下の3種類が存在します。

  • 創出・活用支援:クレジットの創出及び活用を支援
  • 創出支援:クレジットの創出を支援
  • 活用支援:クレジットの活用を支援

J-クレジット・プロバイダ基準を満たすことを求められているが、 J-クレジット制度事務局としては、「登録事業者に対して認定・認証等の付与を行うものではなく、現在及び将来における信頼性を保証するものではありません。また、登録事業者との取引に伴い発生するいかなるトラブルに対しても、一切の責任を負いかねます。」との免責事項に注意が必要です。
プロバイダを利用すれば口座開設が必要なく、クレジット活用のコンサルティングから、売買代行・償却までプロバイダに任せることができます。

3.入札取引/東証での市場取引(2023/1にて実証実験終了)

J-クレジット制度事務局では入札販売を実施していましたが、2022年11月16日より、カーボン・クレジット市場の実証事業にて政府保有クレジットの販売を実施する方針に切り替わりました。
東証市場では板取引ではなく、1日2回の板寄せ方式によって価格が決まります。(1日2回価格が決定される)
クレジット種別としては「再エネ発電」「省エネ他」の2種類があります。
東証市場に参加するためには、J-クレジット口座及び東京証券取引所に「実証参加者」として登録する必要があります。


メリット
デメリット
相対取引
  • クレジットの価格変動リスクを受けにくい
  • 取引条件を自由に設定可能
  • 相対相手を見つけてくるのが大変
  • 取引が不透明
  • 情報格差によって有利不利が明確に存在する
  • 相手によっては信用リストが存在する
  • クレジットの品質見極めが必要
取引所取引
  • 取引が公明正大(クリアリング等)
  • 価格が公的で明確になっている
  • クレジットの品質が担保されている
  • (取引所でフィルタリングしている)
  • 日本では2023/1に東証による実証実験が終わったばかり
  • 流動性が少ないと価格が決まらない
  • 価格変動リスクを抱えることになる
  • 取引所のルールで取引しなければならない
売買仲介
  • 口座開設が不要
  • オペーレーション(移転・償却等)も
  • 代行してくれるところがほとんど
  • 仲介業者の設定した価格で取引しなければならない
  • 業者、クレジットの品質見極めが必要


J-クレジットの課題点

経済産業省のレポートによると、J-クレジット制度を拡大していくうえで、以下のような課題が存在していると指摘しています。

  1. 計画書作成や妥当性確認等のPJ登録に要する手続きが複雑(登録や認証の手続きに平均5ヶ月程度)
  2. 創出されたクレジットは相対取引に頼っており、売買時期の見通しも立てにくい
  3. プロジェクト登録からクレジット売却まで平均4年もかかる
  4. プログラム型クレジットでなければ、1件あたりのクレジット創出量も小さく単価も高くないので、創出者のメリットが少ない
  5. 中小企業にはモニタリングの負担が大きい

参考:経済産業省 J-クレジット制度の現状について


まとめ

本稿では、J-クレジットの概要と発行手続き、取引方法、課題点等を紹介しました。
カーボンオフセットの取り組みを検討している方や、環境問題に関心が高い方はなどは、今回の記事を参考にしながらJ-クレジットについて比較検討してみてはいかがでしょうか。

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