統合報告書とは?概要とその目的のご紹介

統合報告書とは、売り上げや利益など業績に関する財務情報とCSRレポートやESGレポート等で開示される非財務情報を統合したレポートです。

この記事では、統合報告書が何であるか、統合報告書の目的、統合報告書でどういった内容を報告することが求められているのかについてご紹介します。

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目次[非表示]

  1. 1.統合報告書とは
  2. 2.統合報告書の目的
    1. 2.1.サスティナブルな社会の実現を統合報告書でアピール
    2. 2.2.無形資産の可視化と企業情報ギャップの是正
  3. 3.統合報告書に求められる要素とは
  4. 4.まとめ

統合報告書とは

統合報告書とは企業の事業概況、方針などの法的に開示が求められている財務情報及び企業統治や社会的責任等の非財務情報をまとめたものであり、企業の価値創造戦略を説明したレポートになります。欧米では、アニュアルレポートとして広がってきており、日本では統合報告書の発行義務はありませんが、近年導入する企業が急速に増えています。

また、統合報告書は、経営の在り方について体系的に説明すると同時に、非財務情報(CSR、ESG etc.)を含めた企業運営についてもまとめてあるので、投資家だけではなく、顧客や従業員などの関係者に向けた情報発信のツールにもなっています。そのため社会への情報発信手段として、統合報告書を使用することは、企業のブランディング等にも大いに役立つといえるでしょう。

こうした情報発信は、SLL(サステナビリティ・リンク・ローン)などのESG金融による資金調達のための一助にもなります。


統合報告書の目的

サスティナブルな社会の実現を統合報告書でアピール

近年、ESG投資が注目されているきっかけで、財務情報だけでなく、環境(Environment)と社会(Social)、ガバナンス(Governance)といったESG情報を開示する要求が高まっています。そのため、統合報告書は企業によるシェアホルダー(投資家)とステークホルダー(従業員、顧客など)へのコミュニケーションツールとなり、CSR(企業の社会的責任)やサスティナブルな社会の実現に向ける取り組みをアピールする手段の一つとなります。

統合報告書の目的として、経営戦略や方針の開示(シェアホルダー)だけではなく、情報ギャップの是正や信用性の向上(ステークホルダー)が重要なポイントになります。

無形資産の可視化と企業情報ギャップの是正

知識経済化が進む今日では、有形資産のほかに、無形資産への取り組みや可視化の重要性が世界的に増しています。

金融市場では、すべての情報が株価に反映されるストロングフォームの効率性ではなく、一部の情報しか反映されていないセミストロングフォームの効率性であると考えられています。有形資産については有価報告書等で報告されていますが、無形資産や統合的な経営戦略等は報告されないため、統合報告書等を用いて内外に発信することで、これらの情報も株価に反映されやすくなると考えられます。

実例としてPwCの調査によると、TCFD開示と一株当たり利益(EPS)の関係性について、TCFDの取り組みについて開示している企業のEPSがそうでない企業よりも平均的に高いことを示しています。


出典:PwC 『TCFD提言に関する開示状況の分析(2022年3月期有価証券報告書)』

統合報告書に求められる要素とは

統合報告書は 8 つの内容要素を含みます。各内容要素は、本来的に相互に関連しており、相互排他的なものではありません。

  1. 組織概要と外部環境:組織が何を行うか、組織はどのような環境において事業を営むのか。
  2. ガバナンス:組織のガバナンス構造は、どのように組織の短、中、長期の価値創造能力を支えるのか。
  3. ビジネスモデル: 組織のビジネスモデルは何か。
  4. リスクと機会:組織の短、中、長期の価値創造能力に影響を及ぼす具体的なリスクと機会は何か、また、組織はそれらに対しどのような取組を行っているか。
  5. 戦略と資源配分:組織はどこを目指すのか、また、どのようにそこに辿り着くのか。
  6. 実績:組織は当該期間における戦略目標をどの程度達成したか、また、資本への影響に関するアウトカムは何か。
  7. 見通し:組織がその戦略を遂行するに当たり、どのような課題及び不確実性に直面する可能性が高いか、そして、結果として生ずるビジネスモデル及び将来の実績への潜在的な影響はどのようなものか。
  8. 作成と表示の基礎:組織はどのように統合報告書に含む事象を決定するか、また、それらの事象はどのように定量化又は評価されるか。

出典:国際統合報告書フレームワーク日本語訳

まとめ

前述のように、非財務情報、特にESG情報を統合報告書に掲載するのは非常に重要になってきました。ESG情報を統合報告書に掲載することで、①サステナブルな社会の実現を統合報告書でアピールすること、②無形資産の可視化と企業情報ギャップの是正することができ、企業価値の向上につなげます。

しかし、価値創造のための戦略を説明する資料なので、単に財務情報と非財務情報を連結させるのではなく、それらの資産を使って短期、中期、長期的にどのような価値を、いかにして生み出すのかを戦略的にストーリーを立ててまとめた資料でなければなりません。

booost technologies株式会社では、上記の観点を踏まえながら、企業価値の向上を目指したIFRS版の統合報告書作成の支援・Enterprise Value(企業価値)の算定・ESG可視化とTCFD開示及び定量化に向けたコンサルティングや、CO2排出量の自動可視化やカーボンオフセット等が可能な脱炭素化支援プラットフォーム「booost GX」を提供しております。

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