TCFDとは?基礎知識や賛同メリット、今後の重要性のご紹介
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目次[非表示]
- 1.TCFDとは?
- 2.TCFD提言の対象と開示項目
- 3.TCFD賛同のメリット
- 4.今後のTCFDの重要性
- 5.まとめ
現在気候変動による経営リスク上昇に伴い、気候変動の影響を想定した経営戦略を立てることが企業の重要課題とされています。その方法の一つとして、「TCFD」という略称を目にすることが増えてきたのではないでしょうか。
TCFDとは?
TCFDとは、2015年に金融安定理事会(FSB)を中心に設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」のことです。
出典:TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言(最終報告書)(英語)
TCFDは2017年に金融機関や企業に対して、気候関連財務情報の任意開示の枠組みに関するTCFD提言を公表しました。その主な目的は、気候関連のリスク・機会に関する情報開示のフレームワークとして、一貫した気候関連の財務情報を作成し、投資家が組織の重大なリスク・機会を適切に理解できるよう支援することです。また、組織に対して、気候変動への取り組みを開示し、責任あるコミットメントと行動を促します。
出典:気候関連財務情報開示に関するガイダンス3.0(TCFDガイダンス3.0)
TCFD提言の対象と開示項目
TCFD提言の対象は、債券または株式を発行しているすべての主体にとどまらず、他に公的または民間年金基金、財団も対象範囲に含んでいます。
日本において東京証券取引所が2021年6月に改訂したコーポレートガバナンス・コードでは、プライム市場上場企業に対してTCFD提言またはそれと同等の国際的枠組みに沿った開示が義務付けられました。
TCFD提言では、自社の事業活動に影響を及ぼす気候変動のリスク・機会について把握し、下図の通り「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4つの開示項目を枠組みとした情報開示が求められています。
出典:環境省『気候関連財務情報開示タスクフォース (TCFD)の概要資料』
金融セクター、及び気候変動と低炭素社会への移行の影響を最も受ける可能性のある非金融業界に対するセクター別に解説を記載した付属書(セクター別補足文書)も作成されています。
更に、TCFD提言を補足するため、シナリオ分析、リスクマネジメント、指標・目標・移行計画のそれぞれについてのガイダンスも発表されています。
出典:気候関連財務情報開示に関するガイダンス3.0(TCFDガイダンス3.0)
TCFD賛同のメリット
2022年9月22日時点において、世界全体3,819の企業・機関がTCFDへの賛同を表明しています。日本は最多の1,062の企業・機関が賛同しています。
では、TCFD賛同にはどんなメリットがあるのでしょうか。
- 投資家からの投資チャンスが増えます。
- 近年、環境や社会に配慮した企業に投資をするESG投資が注目されています。企業が気候関連リスク・機会を認識し、管理し、情報開示することはESG経営を行っているアピールとなります。投資家からの信頼獲得にもつながり、金融機関による投資が増加することが期待できます。
- TCFD提言に沿った気候関連リスク・機会に関する情報を本来の財務報告と併せて開示することで、既存の開示要件を満たし、より質の高い財務報告が作成できます。
- TCFD提言に沿った情報開示を行うことで、気候関連リスク・機会に関する理解が深まり、知見が高まります。その結果、管理の強化および適切な情報に基づく戦略の策定が可能となります。
- TCFD提言では、シナリオ分析を活用することによって、企業が予想していなかった新たな事業機会とニーズを発見し、戦略を立てられるのもあり得ます。
出典:経済産業省 日本のTCFD賛同企業・機関
出典:環境省『気候関連財務情報開示タスクフォース (TCFD)の概要資料』
今後のTCFDの重要性
世界のESG投資の市場規模は増加しており、今後も拡大してゆくと考えられます。同時に、気候変動情報の開示が重要視され、TCFD提言は世界のスタンダードになりつつあります。
日本では、先述にもあるようにプライム市場上場企業に対してTCFD提言またはそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動情報の開示が義務化されたことだけでなく、金融庁は、有価証券報告書において、気候変動を含めたサステナビリティ情報の開示を求める方針も固めました。
海外でも、TCFD提言に基づいた開示が求められています。2021年11月に国際的な会計基準であるIFRS財団が国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)を設立しました。ISSBにおいて、2022年末までにTCFD提言の開示項目をベースに新たな情報開示基準を公表する予定となっています。国際的に一貫性があり、投資判断に役立つ開示が行われるという目標として、ISSBの基準が策定された場合、将来的にはTCFD提言からISSBの基準への移行が企業に対して求められる可能性が高いです。
出典:金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告(案)
まとめ
上記の通り、TCFD提言の普及と他の情報開示フレームワーク・評価機関の活用は着実に進んでいます。今後ESG経営がより注目されると、TCFD提言への取り組みはますます重要になるでしょう。
booost technologies株式会社では、脱炭素推進に対して、CO2等排出量の自動算出による可視化・管理・報告が可能なカーボンマネジメントクラウド「booost GX」の導入支援を行うとともに、CDPスコアリングパートナーとして、TCFDをはじめとする気候変動関連の国際的な枠組みの情報開示をサポートします。これを機にTCFDへの理解を深め、TCFDへの賛同を検討してはいかがでしょうか。
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