アパレル業界のサステナビリティ管理指標「Higg Index」とは?

環境や社会責任を重視した持続可能な製品開発やサプライチェーン管理を評価する指標にHigg Index(ヒグ・インデックス)があります。
この指標は、2012年に米国の非営利団体Sustainable Apparel Coalition(SAC)が開発し、現在では世界中のアパレル業界・ファッション業界で利用されています。Higg Indexは、環境負荷や労働権の問題を可視化し、企業がより持続可能な製品やサプライチェーンの改善に努めることを目的としています。

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目次[非表示]

  1. 1.Higg Indexのコンポーネント
    1. 1.1.Higg Product Tools
    2. 1.2.Higg Facility Tools
    3. 1.3.Higg Brand Tools
  2. 2.Higg Materials Sustainability Index(MSI)
  3. 3.Higg Product Module(PM)
  4. 4.Higg Facility Environmental Module(FEM)
  5. 5.Higg Facility Social & Labor Module(FSLM)
  6. 6.Higg Brand and Retail Module(BRM)
  7. 7.Higg Indexの利用方法
  8. 8.Higg Indexの利点
  9. 9.Higg Indexの採用企業
  10. 10.まとめ

Higg Indexのコンポーネント

Higg Indexは、3つのツールと以下のコンポーネントから構成されています。

Higg Product Tools

  • Higg Materials Sustainability Index(MSI): 製品に使用される素材の環境パフォーマンスを評価するツールです。素材選択による環境負荷の比較や改善を目的としています。
  • Higg Product Module(PM): 製品のライフサイクル全体を通じた環境パフォーマンスを評価するツールです。素材の選択、製造プロセス、廃棄時の環境負荷などが評価されます。

Higg Facility Tools

  • Higg Facility Environmental Module(FEM): 工場の環境パフォーマンスを評価するツールです。水やエネルギーの使用量、廃棄物の処理方法、温室効果ガスの排出量などを指標にしています。
  • Higg Facility Social & Labor Module(FSLM): 労働環境や労働者の福利厚生を評価するツールです。労働時間や賃金、健康や安全、差別やハラスメントの問題などが評価対象となります。

Higg Brand Tools

  • Higg Brand and Retail Module (BRM) : ブランドおよび小売業者の持続可能性パフォーマンスを評価・比較するためのツールです。環境負荷および労働条件の改善を目指す企業が、自社の持続可能性パフォーマンスを評価し、向上させることを目的としています。

これらのモジュールを使用して、企業は自分たちの製品やサプライチェーンにおける環境・社会的負荷を評価・比較し、改善策を見つけ出すことができます。


Higg Materials Sustainability Index(MSI)

Higg MSIは、以下のような環境面の指標を評価します。

  • 温室効果ガス排出量: 素材の製造プロセスにおける温室効果ガスの排出量を評価します。
  • エネルギー使用量: 素材の製造におけるエネルギー消費量を評価します。
  • 水使用量: 素材の製造プロセスにおける水の消費量を評価します。
  • 廃棄物: 素材の製造過程で発生する廃棄物の量と処理方法を評価します。
  • 化学物質: 素材の製造過程で使用される化学物質のリスクや管理方法を評価します。

Higg Product Module(PM)

Higg PMは、以下のような製品ライフサイクル全般に関わる環境面の指標を評価します。

  • 素材: 製品に使用される素材の環境負荷や再生可能性を評価します。
  • 製造プロセス: 製品の生産過程における環境負荷(エネルギー消費、排水、廃棄物など)を評価します。
  • 包装: 製品の包装に関する環境負荷やリサイクル可能性を評価します。
  • 輸送: 製品の輸送に関わる環境負荷(CO2排出量など)を評価します。
  • 使用とケア: 製品の使用中やメンテナンスに関する環境負荷を評価します。
  • 廃棄時: 製品の廃棄方法やリサイクル可能性、廃棄物処理に関する環境負荷を評価します。

Higg Facility Environmental Module(FEM)

Higg FEMは、以下のような環境面の指標を評価します。

  • エネルギーおよび温室効果ガス: 工場のエネルギー使用量、効率、温室効果ガス排出量を評価します。
  • 水および排水: 工場の水使用量、排水処理方法、水質への影響を評価します。
  • 廃棄物: 廃棄物の量、分別、リサイクル、処分方法を評価します。
  • 化学物質管理: 化学物質の使用、保管、廃棄方法や従業員への教育・トレーニングなどを評価します。
  • 大気および騒音: 工場から排出される大気汚染物質や騒音レベルを評価します。

Higg Facility Social & Labor Module(FSLM)

Higg FSLMは、以下のような社会・労働面の指標を評価します。

  • 労働時間: 労働者の労働時間や休憩時間、休日を評価します。
  • 賃金と報酬: 労働者の賃金水準、賃金支払いの適切性、福利厚生などを評価します。
  • 健康と安全: 労働者の健康と安全に関する管理、緊急対応計画、教育・トレーニングなどを評価します。
  • 差別とハラスメント: 労働者に対する差別やハラスメントが無いかどうか、その対策が適切かどうかを評価します。
  • 労働者の権利と声: 労働者の権利や意見が尊重されているか、組合活動への制限が無いかどうかを評価します。

Higg Brand and Retail Module(BRM)

Higg BRMは、以下のような環境・社会面の指標を評価します。

  • 環境管理: ブランド・小売業者の環境管理方針や目標、組織の環境パフォーマンスを評価します。
  • 労働条件管理: 労働条件、賃金、安全性、差別のない職場環境に対する取り組みを評価します。
  • 製品開発: 製品のライフサイクル全体にわたる環境および社会的影響を考慮した製品開発やデザインの取り組みを評価します。
  • サプライチェーン管理: サプライチェーン全体での持続可能性に関する取り組みやパートナー企業との協力を評価します。
  • 廃棄物管理: ブランド・小売業者の廃棄物削減やリサイクルの取り組みを評価します。

Higg Indexの利用方法

Higg Indexは、企業が持続可能性を向上させるための以下の手順で利用されます。

  1. 評価: 各モジュールを使用して、自社の製品やサプライチェーンの環境・社会的パフォーマンスを評価します。
  2. 分析: 評価結果を基に、改善が必要な分野を特定します。
  3. 改善: 特定された分野に対して具体的な改善策を立案し、実行に移します。
  4. 報告: Higg Indexを使って得られたデータを公開し、持続可能性への取り組みを透明化します。
  5. 再評価: 定期的に評価を行い、改善の効果を確認し、新たな課題に取り組んでいきます。

Higg Indexの利点

Higg Indexには、以下のような利点があります。

  • 標準化: 同じ指標で企業間の持続可能性を比較することができます。
  • 改善の促進: ベンチマークデータを基に、自社の弱点を把握し、改善策を見つけ出すことができます。
  • 信頼性の向上: 透明性の高い評価方法であり、消費者や投資家からの信頼を向上させることができます。

Higg Indexの採用企業

Higg Indexは、特にアパレルおよびフットウェア業界で広く採用されています。以下は、Higg Indexを採用している主要な企業の一部ですが、Sustainable Apparel Coalition(SAC)に加盟している多くの企業がHigg Indexを活用しています。

  • addidas: スポーツウェアおよびスポーツ用品の大手メーカーで、Higg Indexを使用して環境および社会的パフォーマンスを評価・改善しています。
  • NIKE: スポーツウェアおよびフットウェアの大手メーカーで、Higg Indexを用いた持続可能性の評価と改善に取り組んでいます。
  • Patagonia: 環境保護に力を入れるアウトドアウェアブランドで、Higg Indexを活用して製品の環境負荷を評価し、改善策を立案しています。
  • H&M: ファストファッションブランドの一つであり、サプライチェーンの環境・社会的パフォーマンスをHigg Indexを使って評価し、改善に取り組んでいます。
  • GAP: アメリカのアパレルブランドで、Higg Indexを活用してサプライチェーンの持続可能性評価や改善に努めています。
  • ユニクロ:2014年にSACに加盟し、自社とサプライチェーンにおける環境影響を評価するためHigg Indexを活用して改善に努めています。

上記の企業以外にも、アパレル業界や繊維業界を中心に多くの企業がHigg Indexを採用しており、環境・社会的なパフォーマンスの向上や透明性の確保に努めています。Higg Indexの普及は、これらの企業が持続可能性を重視し、競争力を維持・向上させる上で重要な役割を果たしています。

SAC参加メンバー:ブランド・小売素材メーカー
※登録されている日本メーカー:株式会社アダストリア、株式会社アシックス、株式会社ファーストリテイリング、帝人フロンティア株式会社(2023/04/07時点)

参考
環境省『ファッションと環境に関する調査業務  -「ファッションと環境」調査結果』
環境省_サステナブルファッション

まとめ

Higg Indexは、環境や社会責任に焦点を当てた持続可能な製品開発やサプライチェーン管理の評価指標です。企業は、Higg Index活用することで、環境・社会的パフォーマンスを向上させるための改善策を見つけ出し、透明性を高め、信頼性を向上させることができます。アパレル業界を中心に普及しているHigg Indexですが、今後も持続可能性やサステナブル・ファッションに関心を持つ企業や消費者にとって、重要な評価基準となっていくことでしょう。

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