環境省、環境課題の統合的取組と情報開示の実践事例集を公表 モデル支援事業の実務知見を公開
目次
2026年6月、環境省は「環境課題の統合的取組と情報開示に係る手引き 実践事例集」を公表しました。
本資料は、2025年6月に公表された「環境課題の統合的取組と情報開示に係る手引き(本編)」で示された考え方を基に、令和7年度「脱炭素実現に向けた統合的取組実装モデル支援事業」の成果を取りまとめたものです。企業が実際に環境課題の統合的取組や情報開示に取り組んだ際の実務上の知見が紹介されており、サステナビリティ担当者にとって参考となる内容が盛り込まれています。
モデル支援事業で得られた実践知見を整理
今回公表された実践事例集は、新たな制度やガイドラインではありません。環境省が令和7年度に実施した「脱炭素実現に向けた統合的取組実装モデル支援事業」を通じて、企業が実際に取り組んだプロセスや課題、得られた知見を実務面に重点を置いて整理した資料です。
手引き本編で示された考え方を、企業がどのように実装したのかを具体的に確認できる点が特徴です。
気候変動・自然資本・資源循環を統合して考える視点を提示
実践事例集では、気候変動だけでなく、自然資本や資源循環など複数の環境課題を個別に対応するのではなく、企業価値向上に向けて統合的に取り組む考え方が紹介されています。
また、環境施策同士のシナジー(相乗効果)だけでなく、ある施策が別の環境課題へ与えるトレードオフも考慮しながら経営判断を行う重要性についても解説されています。
実務では「完璧なデータを待たずに始める」ことを提案
実践事例集では、環境情報の定量化やデータ整備が十分でない段階であっても、既存データを活用しながら段階的に高度化していくアプローチが紹介されています。
既存の経営指標(KPI)を活用しながら環境課題を経営判断へ取り込む考え方など、実務担当者が参考にできるポイントも整理されています。
また、環境課題の統合的取組は、気候変動対策だけでなく、製品ライフサイクルやサプライチェーン全体を踏まえた経営が重要になります。特にScope3削減や製品サステナビリティ対応では、それぞれのテーマを個別に考えるのではなく、相互の関係性を理解することが求められます。
※以下の記事を参照下さい。
- カーボンフットプリント(CFP)とは ― 製品のGHG見える化から企業全体の削減へ
- ESPRとは?エコデザイン規則の対象製品・目的・影響を解説
- DPP:製品の透明性を担保するデジタル製品パスポートとは?
- 【最新版】欧州電池規則とは?対象・要件・義務化スケジュール
- 【What編】Scope3とは?対象範囲・15カテゴリ一覧・算定方法・課題と企業対応をわかりやすく解説
- Scope3削減とサーキュラーエコノミーの関係とは?資源循環が排出量削減につながる理由を解説
SLM編集部コメント
今回の実践事例集で注目したいのは、新しい制度や開示基準を示した資料ではなく、企業が実際に統合的な環境経営へ取り組む過程で得られた実務知見を整理している点です。
近年は、SSBJによるサステナビリティ情報開示やTNFDへの対応などを背景に、気候変動、自然資本、資源循環といったテーマを横断的に管理する必要性が高まっています。一方で、多くの企業では担当部門やデータが分散しており、統合的な推進に課題を抱えています。
本事例集では、「完璧なデータを待つのではなく、既存データを活用しながら段階的に取り組む」という現実的な考え方や、シナジー・トレードオフを踏まえた経営判断の視点が示されており、今後の実務を考える上で参考になる資料といえるでしょう。




とは-―-製品のGHG見える化から企業全体の削減へ-150x150.png)
