経産省、GX率先実行宣言の見直し方針を公表 「プラチナグレード」新設でGX製品調達を評価へ
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経済産業省は2026年7月10日、「GX需要創出に向けた研究会」の中間とりまとめを公表しました。GX投資で供給が広がるGX製品・サービスについて、需要側の企業による調達をどう後押しするかが整理されています。
背景には、GX製品・サービスが市場で評価され、実際に調達されなければ、十分な需要につながりにくいという課題があります。
今回の中間とりまとめでは、企業の積極調達を評価・可視化する「GX率先実行宣言」の見直し方針が示されました。需要創出への貢献度が高い取組を「プラチナグレード」として評価する方向性が注目されます。
経産省がGX需要創出に向けた中間とりまとめを公表
GX率先実行宣言は、企業によるGX製品・サービスの調達を見える化し、初期需要の創出につなげる枠組みです。
現行制度では、対象製品・サービスの定義や範囲が調達側から分かりにくいこと、事業活動との関連が薄い製品でも宣言できること、定量的な調達量の基準がないことなどが課題とされていました。
今回の見直しでは、対象製品・サービスの明確化・リスト化、事業活動と調達行動の関連付け、宣言内容のフォローアップと公表などが示されています。
GX率先実行宣言を見直し、「プラチナグレード」を新設へ
今回の見直しで中心となるのが、新たな「プラチナグレード」の導入です。
中間とりまとめでは、国の目標と同等以上の水準の野心的な目標にコミットし、GX製品・サービスの積極調達に取り組む企業を、GX需要創出への貢献度が高い取組として評価する方向性が示されています。
評価にあたっては、主に次の3つの考え方が想定されています。
- 政府や業界で設定された調達目標
- 調達による排出量の削減効果
- 売上規模に対する調達金額の割合
対象製品・サービスについては、政府の中長期的な支援がある製品を前提としつつ、調達側の視点からリスト化する方向です。また、GX製品の供給拡大までの初期需要創出策として、削減実績量を有する製品も対象に含める考え方が示されています。

見直し後の対象製品リスト
まずは、鉄鋼業界において製造される、削減実績量を有するGXスチールをGX率先実行宣言の対象とする方向です。今後、業界ルールが整備され、需要創出の加速が特に必要な場合には、他の製品についても削減実績量を有する製品を対象とすることが検討されます。
| 論点 | 見直しの方向性 | 企業側の確認ポイント |
|---|---|---|
| 対象製品・サービス | 調達側の視点で明確化・リスト化 | 自社事業と関連するGX製品を確認する |
| グレード | プラチナグレードを新設 | 野心的な調達目標を設定できるか確認する |
| 評価指標 | 調達目標、排出削減効果、売上原価比率等で評価 | 調達量・金額・削減効果を管理する |
| 事業活動との関連 | ポジティブリスト※等で関連付け | 主要排出源や事業活動との関係を整理する |
| フォローアップ | 年1回の確認・公表 | 実績データと進捗管理が必要になる |
| GX関連予算 | 採択審査の加点要素として活用 | 補助金・政策対応部門との連携が必要になる |
表.GX率先実行宣言の主な見直しポイント
※ポジティブリストとは、業種別の主な事業活動や主要排出源を踏まえ、自社努力で温室効果ガス排出削減に貢献できるGX製品・サービスを整理したもの。
フォローアップ・公表・GX関連予算との連動も論点に
見直し後のGX率先実行宣言では、宣言提出後の取組状況について、事務局が年1回フォローアップを行い、プラチナグレード取得企業からの回答をGX推進機構HPで公表する方向性が示されています。
また、未回答の場合や、宣言内容を実行しないという回答があった場合には、プラチナグレードの取下げや取消しも含めて検討される可能性があります。
GX関連予算との連動も論点です。中間とりまとめでは、見直し後のGX率先実行宣言を活用し、プラチナグレードを取得している場合には、採択審査で加点する方向性が示されています。
そのため、企業にとっては、宣言時点の目標設定だけでなく、その後の進捗管理、実績データ、調達記録、削減効果の説明資料を継続的に整備することが重要になります。
今後の進め方としては、中間とりまとめ後、マニュアルやシステムなどの受付体制を整備し、説明会を開催したうえで、2026年秋頃をめどに見直し後の募集・認定を開始する方針です。その後、半年程度の運用を踏まえ、2027年春頃をめどに改善すべき点があれば見直しを検討するとされています。
企業実務への影響:調達・Scope3・CFPデータ管理が重要に
今回の見直しは、企業に新たな法定開示義務を直接課すものではありません。一方で、大企業の調達・サステナビリティ実務には影響が及ぶ可能性があります。
第一に、調達部門とサステナビリティ部門の連携がより重要になります。GX製品・サービスの調達目標を掲げるには、調達量、調達金額、対象製品の定義、事業活動との関連を整理する必要があります。
第二に、製品単位の排出量データや削減実績量の管理が重要になります。GXスチールのように、削減実績量を有する製品が対象となる場合、企業は調達した製品の削減効果をどのように把握し、自社のScope3やCFP、取引先説明にどう接続するかを検討する必要があります。
第三に、GX関連予算や政策インセンティブとの接続が強まります。プラチナグレードが採択審査の加点要素となる場合、GX製品の調達方針は、補助金・支援策の活用可能性にも関わる経営判断になります。
SLM編集部コメント
GX率先実行宣言の見直しは、GX製品・サービスの需要をつくるための制度設計です。ただし、企業側から見ると、調達を通じた脱炭素貢献をどのように定量化し、説明し、継続管理するかという実務課題にもつながります。
今後、GX-ETSやカーボンプライシング、CFP、低炭素素材、Scope3対応が進む中で、GX製品・サービスの調達は「環境に良いものを買う」活動から、「排出削減効果を説明できる調達」「政策インセンティブと接続する調達」「サプライチェーン競争力に関わる調達」へと変わっていく可能性があります。
企業は、見直し後の募集・認定開始を待つだけでなく、自社の事業活動と関連するGX製品・サービス、調達方針、削減効果、データ管理体制を早めに確認しておくことが重要です。
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