【基礎編】カーボンフットプリント(CFP)とは?考え方・算定の基本・最新動向
目次
本記事は「CFP(カーボンフットプリント)理解シリーズ」の第1回:基礎概念編です。
CFPを初めて知る方に向けて、カーボンフットプリント(CFP)とは何か、なぜ注目されているのか、どのような考え方に基づく概念なのかを整理します。
CFPとScope1・2・3、PCF(Product Carbon Footprint)との関係性については、混乱を避けるために位置づけのみを簡潔に整理します。
具体的な算定方法や実務運用については、すでに公開している本シリーズのテーマ別記事をご覧ください(シリーズ全体像は後述)。
企業の脱炭素対応は、「方針策定」や「目標設定」の段階から、具体的な算定・改善を実行に移す「実装フェーズ」へと移行しています。その中で重要性を増しているのが、製品・サービス単位で温室効果ガス(GHG)排出量を捉えるための考え方であるカーボンフットプリント(CFP:Carbon Footprint of Product)です。
企業全体の排出量を把握する枠組みとしてScope1・2・3があります。CFPは、こうした企業全体の排出量管理と異なる視点から、製品・サービス単位で排出を捉えるための考え方を提供します。
カーボンフットプリント(CFP)とは?
CFPとは、製品・サービスのライフサイクル全体におけるGHG排出量を、どの範囲・前提で捉えるかを整理するための考え方です。
CFPは、排出量の数値そのものを指す言葉ではありません。
CFPという考え方があることで、
- 製品設計や仕様検討の前提を整える
- サプライヤーとの削減協議を共通言語で行う
- 規制や顧客要求への対応を構造的に検討する
といったことが可能となります。
なお、CFPはScope1, 2, 3排出量の一部(製品やサービスに紐づく排出)を、製品視点で切り出して捉えるための考え方でもあります。
Scope1, 2, 3そのものの考え方や算定枠組みを詳しく扱うのは本記事の目的ではないためここでは割愛します。
CFP/Scope1, 2, 3/PCFの関係性
CFPは、製品・サービス単位でGHG排出量を捉えるための概念・視点です。一方で、企業全体の排出量を網羅的に把握・管理する枠組みとしてはScope1, 2, 3があります。このうち原材料調達や物流、使用、廃棄などを含むScope3は、多くの企業でGHG排出量の大部分を占めているため、管理の難しさが課題となっています。
CFPは、このScope3管理を製品・サービス単位で具体化するための視点として重要性を増しています。どの製品やサービスが、どの工程で排出に関与しているのかを整理することで、設計・調達・サプライチェーン改善といった具体的なアクションにつなげることが可能になります。
また、CFPの考え方を前提として、実際に製品単位で排出量を算定し、数値として管理・活用する実務は、PCF(Product Carbon Footprint)として扱われます。
- Scope1, 2, 3:企業全体の排出量を網羅的に管理する枠組み
- CFP:製品・サービス単位で排出量を捉えるための概念
- PCF:CFPを実務として継続的に算定・管理するためのアプローチ
※ 用語の使われ方に関する補足(初心者の方向け)
なお、環境省などの公的資料では、「CFP算定」「CFPデータ」といった表現が用いられることが多く、CFPという言葉が、概念と実務の両方を含む総称として使われています。
本記事では、考え方と実務を整理して理解しやすくするため、
- CFP:製品・サービス単位で排出を捉えるための考え方
- PCF:その考え方に基づき、実際に製品単位で算定・管理される排出量データ
として区別して説明しています。
CFPの考え方に基づくPCF算定の基本
CFPは、製品単位で排出を捉えるための考え方です。この考え方を実務として具体化する際には、PCFとして排出量の算定・管理が行われます。
一般に「CFP算定」と呼ばれる取り組みの多くは、CFPの考え方を前提として、PCFとして製品単位の排出量を算定する実務を指しています。
PCFとしての算定(一般に「CFP算定」と呼ばれることもあります)は、LCA(ライフサイクルアセスメント)の考え方を基盤として行われます。国際的には、製品のカーボンフットプリント算定に関する基本的な枠組みとして ISO 14067 が参照されています。
一般的な流れは次の通りです。
- 目的・対象範囲の設定
- ライフサイクルインベントリ(LCI)の作成
- 排出量の算定
- 結果の解釈・活用
実務では、最初から高精度なデータを揃えることよりも、目的に合った前提条件で算定を始め、段階的に精度を高めていくことが重要です。
LCAの考え方や算定範囲(Cradle-to-Gate)の整理については以下記事で整理しています。
☞ CFP理解のためのライフサイクル・アセスメント(LCA)におけるCradle-to-Gateとは?
CFPに取り組む意義と実務上のメリット
CFPに取り組むことは、事業上の様々なメリットがあります。
- 排出構造を製品単位で把握しやすくなる
- 改善すべき工程や論点を構造的に整理できる
- サプライチェーンとの議論の前提が整う
CFPは、単なる可視化にとどまらず、製品単位での意思決定を支えるための思考の枠組みとして位置づけられます。
具体的な事例については以下の記事をご覧ください。
☞ 事例に学ぶ、カーボンフットプリント(CFP)算定のメリット/インタビュー
CFPを取り巻く国内外の動向
CFPは、政策・制度面でも重要性を増しています。
- 欧州では、電池規則を皮切りに、製品単位での排出量把握が制度要件として具体化
- 日本でも、CFP算定ルールやデータ連携に関する検討が進展
- 国際的には、ISO規格や業界別ガイドラインの整備が進行
これらの動向からも、CFPは一過性のトレンドではなく、今後の脱炭素実務の前提条件になりつつあることが分かります。
具体的には、以下の記事をご覧ください。
- 欧州電池規則におけるEV用電池のCFP算定方法(2025年版)委任規則案と最新動向
- 【最新版】欧州電池規則最新解説 義務化スケジュールと主要要件
- 欧州電池規則への実務対応 2025-2027
- WBCSDのPACTとは?排出量データ交換やCFP算定のグローバルな水準を解説
CFPは企業全体の排出量削減に向けた出発点
CFPは、Scope1, 2, 3排出量管理や、PCFとしての製品別改善へと発展していくための出発点となる概念です。
CFPを経営・戦略の文脈でどう活用するかについては、次の記事で整理しています。
☞ カーボンフットプリント(CFP)とは ― 製品のGHG見える化から企業全体の削減へ
まとめ|CFPは製品単位で考えるための枠組み
CFPは、製品・サービス単位で排出を捉えるための考え方・枠組みです。その考え方を前提として、実務ではPCFとして排出量の算定・管理が行われます。
まずは本記事で全体像を押さえ、前提知識・整理・実務へと段階的に理解を深めてみてください。
CFP関連記事一覧
定義・入門(What)
- 【基礎編】カーボンフットプリント(CFP)とは?算定方法・メリット・最新動向(リライト後タイトル)
意義・戦略接続(Why / So what)※一部会員限定コンテンツ
前提知識(Howの土台)
実務リアリティ(How)
リスクと将来像(Trust / Future)※会員限定コンテンツ
業界特化
CFPの次に押さえたいテーマ
CBAM(炭素国境調整メカニズム)
- 欧州炭素国境調整措置(EU CBAM)の簡素化のポイントと必要な対応
- EUによる炭素国境調整措置(CBAM)とは? 日本企業への影響を分かりやすく解説
- 炭素国境調整措置(CBAM)における体化排出量とは?定義から算出方法まで簡単解説
- 正式発表:炭素国境調整メカニズム(CBAM)の簡素化
- 英国CBAM:2025年法案に向けた最新発表と企業への影響
- 第9回 CBAM委員会会議が開催:2025年11月24日~26日
- EU CBAM、対象品目拡大を含む法案を公表
- 【過去ウェビナー資料】英国CBAM最新動向:2025年法案の要点と企業への影響
欧州電池規則
- 【最新版】欧州電池規則最新解説 義務化スケジュールと主要要件
- 欧州電池規則への実務対応 2025-2027
- 欧州電池規則におけるEV用電池のCFP算定方法(2025年版)委任規則案と最新動向
- 欧州電池規則:原材料デューデリジェンス(DD)義務の適用が延期
ESPR(持続可能な製品のためのエコデザイン規則)
DPP(デジタル製品パスポート)
削減貢献量
参考
ISO 14067: Carbon footprint of products
https://www.iso.org/standard/71206.html
Life Cycle Assessment resources(UNEP / SETAC)
https://www.lifecycleinitiative.org/
Environmental Footprint(EF) methods — Product Environmental Footprint (PEF)
https://green-forum.ec.europa.eu/green-business/environmental-footprint-methods/pef-method_en
グリーン・バリューチェーン・プラットフォーム CFP関連資料(環境省)https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/cfp_calculation.html




とは-―-製品のGHG見える化から企業全体の削減へ-150x150.png)
