SBTi、企業ネットゼロ基準Version2.0を公表 目標設定から実行・情報開示までを重視した新基準へ
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2026年6月11日、Science Based Targets initiative(SBTi)は、企業のネットゼロ目標設定に関する国際基準「Corporate Net-Zero Standard Version 2.0」を公表しました。
今回の改訂は2021年版以来となる大幅な見直しで、従来の「目標設定」中心から、「目標の実行」「進捗管理」「透明性」をより重視する内容へと進化しています。Scope3目標の設定方法の見直しや排出削減の優先順位の明確化などが盛り込まれ、日本企業の脱炭素実務にも影響を与える内容となっています。
SBTi Version2.0の主な改訂ポイント
今回公表されたVersion2.0では、企業がより実効性のある脱炭素を進められるよう、制度全体が見直されました。
主な変更点は以下のとおりです。
- 目標設定だけでなく、実装・進捗管理を重視
- Scope3目標の設定方法を柔軟化
- 排出削減の優先順位(Mitigation Hierarchy)を明確化
- 企業規模に応じたカテゴリー制度を導入
- 情報開示や透明性に関する要求を強化
- 2027年から新基準への移行を開始予定
今回の改訂から読み取れるのは、「野心的な目標を掲げること」だけではなく、「その目標をどのように実現し、その進捗を説明するか」を重視する方向へSBTiが進化したことです。
SBTiは「目標設定」だけではない 実務全体の中で捉えることが重要
SBTi Version2.0は、SBTi単独の制度改訂として捉えるだけでは十分ではありません。
近年は、
- SBTiによる科学的根拠に基づく目標設定
- **移行計画(Transition Plan)**による実行計画の策定
- Scope1・2・3の排出量削減
- 第三者保証による情報の信頼性確保
- SSBJなどに基づく情報開示・説明
といった制度やフレームワークが相互に連携しながら、企業の脱炭素への取り組みを支えるようになっています。
企業担当者には、それぞれを個別の制度対応として進めるのではなく、「目標設定から情報開示までの実務フロー」として全体像を理解した上で、自社の取り組みを推進することが重要です。

図.SBTi目標設定から情報開示までの実務フロー
SLM編集部コメント
今回のVersion2.0で最も注目すべき点は、SBTiが企業に求めるものが「目標設定」から「目標の実行・説明」へと広がったことです。
これはSBTiだけの話ではありません。SSBJでは気候関連情報の開示、Scope1・2・3では排出量の継続的な管理、移行計画では目標達成に向けた実行計画、第三者保証では開示情報の信頼性向上が求められるなど、企業を取り巻く制度は相互に連携する方向へ進んでいます。
企業担当者には、制度ごとに個別対応するのではなく、まず全体の実務フローを理解した上で、その中でSBTiやSSBJ、Scope1・2・3などをどのように位置付けるかを考える視点が重要です。
SBTi Version2.0は、そのような「個別制度への対応」から「脱炭素実務全体の最適化」への転換を示す改訂として捉えることができるでしょう。
あわせて読みたい
SBTiの基本とVersion2.0の背景
Version2.0(案)の解説記事
今回公表されたVersion2.0は、これまでSBTiが公開していたドラフト(Version2.0案)を踏まえて正式化されたものです。
- 【全3回・第1回】SBTi企業ネットゼロ基準V2.0(案) ~改訂の背景と全体像~
- 【全3回・第2回】SBTi企業ネットゼロ基準V2.0(案) ~改訂の詳細~
- 【全3回・第3回】SBTi企業ネットゼロ基準V2.0(案) ~移行期間・既存目標の扱いと、企業が今取るべき対応~
参考資料
- SBTi「The SBTi releases Corporate Net-Zero Standard V2.0 to accelerate corporate climate action」 https://sciencebasedtargets.org/news/the-sbti-releases-corporate-net-zero-standard-v2-0-to-accelerate-corporate-climate-action
- SBTi「Corporate Net-Zero Standard Version 2.0」 https://sciencebasedtargets.org/corporate-net-zero-standard-v2




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