サーキュラーエコノミーとは?企業に求められる理由や3Rとの違いをわかりやすく解説
目次
サーキュラーエコノミー(循環経済)は、資源や製品の価値をできるだけ長く維持・活用し、新規資源採取への依存を減らすことを目指す考え方です。近年は、資源制約や地政学リスク、脱炭素への対応に加え、ESPR(エコデザイン規則)やDPP(デジタルプロダクトパスポート)などの制度整備が進んでいることから、企業経営にも大きな影響を与えるテーマとなっています。
本記事では、サーキュラーエコノミーの意味や3Rとの違い、注目される背景、企業活動への影響、関連する政策・規制動向、企業が取り組む際のポイントについてわかりやすく解説します。
本記事の概要
- サーキュラーエコノミー(循環経済)とは、資源や製品の価値を維持・活用し、新規資源採取への依存を減らすことを目指す考え方
- 3Rが主に廃棄物削減を目的とするのに対し、サーキュラーエコノミーは資源循環と経済成長の両立を目指す
- サーキュラーエコノミーは環境活動ではなく、資源戦略や事業戦略にも関わる経営テーマとなっている
- 企業には、設計・調達・製造・利用・回収までを含めたライフサイクル全体での取り組みが求められる
- ESPR、DPP、欧州電池規則などの制度も、サーキュラーエコノミーの考え方を背景として整備が進められている
- まずは重要な資源や製品を把握し、既存のScope3や脱炭素活動と結び付けながら取り組むことが重要
1.サーキュラーエコノミー(循環経済)とは
サーキュラーエコノミー(Circular Economy:CE・循環経済)とは、資源や製品の価値をできるだけ長く維持・活用し、新規資源採取を最小化することを目指す経済モデルです。
従来の経済活動は、資源を採取し、製品を製造・消費した後に廃棄する「リニアエコノミー(直線型経済)」が主流でした。しかし、人口増加や経済成長に伴う資源需要の拡大、資源価格の高騰、廃棄物問題などを背景に、従来型の経済モデルには限界があると指摘されています。
そこで注目されているのがサーキュラーエコノミーです。サーキュラーエコノミーでは、製品や資源を一度使って終わりにするのではなく、長寿命化、修理、再利用、再製造、リサイクル、再生材利用などを通じて価値を維持しながら循環利用することを目指します。
重要なのは、サーキュラーエコノミーの目的が「リサイクルを増やすこと」ではない点です。リサイクルはあくまで手段の一つであり、本質的な目的は新規資源採取への依存を減らすことにあります。例えば、製品を長く使えるように設計することや、使用済み製品を回収して再利用すること、再生材を活用して新たな資源採取を抑えることも、サーキュラーエコノミーの重要な取り組みです。
近年ではEUを中心に、サーキュラーエコノミーの考え方を制度や規制へ反映する動きが進んでいます。ESPR(エコデザイン規則)やDPP(デジタルプロダクトパスポート)、欧州電池規則なども、その延長線上にある取り組みとして位置づけられます。

この図に示したように、サーキュラーエコノミーでは、長寿命化や修理、再利用、再製造、リサイクルなどを通じて製品や資源の価値を維持し、新規資源採取への依存を減らすことを目指します。
2.なぜ今サーキュラーエコノミーが注目されているのか
サーキュラーエコノミーが注目されている背景には、資源制約や気候変動への対応だけでなく、企業経営を取り巻くリスクや規制環境の変化があります。近年は、資源調達リスクの高まり、脱炭素化の進展、EUを中心とした規制強化などを背景に、資源や製品を循環利用するサーキュラーエコノミーへの移行が世界的に進められています。
資源制約・地政学リスクへの対応
世界人口の増加や新興国の経済成長に伴い、資源需要は拡大を続けています。一方で、鉱物資源をはじめとする無機資源は埋蔵量に限りがあり、将来的な資源制約が懸念されています。特に、リチウムやニッケル、コバルト、レアアースなどの重要鉱物は特定地域への偏在が大きく、国際情勢や政策変更によって供給が不安定になるリスクがあります。近年は資源価格の高騰やサプライチェーンの混乱も発生しており、多くの企業にとって資源調達リスクへの対応が重要な経営課題となっています。
また、一次資源の採掘や生産の現場では、人権侵害や環境破壊といった問題が指摘されることもあります。そのため企業には、資源の安定確保だけでなく、サプライチェーン上の人権・環境リスクへの対応も求められるようになっています。
サーキュラーエコノミーは、再利用や再生材活用などを通じて一次資源への依存を減らすことで、こうした資源制約や地政学リスク、人権・環境リスクの低減にもつながる考え方として注目されています。
気候変動や脱炭素への対応
サーキュラーエコノミーが注目されるもう一つの理由が、気候変動対策への貢献です。
資源の採掘、原材料の製造、製品の生産、輸送、廃棄といったライフサイクル全体では、多くの温室効果ガス(GHG)が排出されています。そのため、資源や製品を循環利用し、新たな資源採掘や製造を減らすことは、脱炭素社会の実現にも貢献します。
近年は企業に対して、Scope1・2だけでなくサプライチェーン全体を対象としたScope3排出量の把握・削減も求められるようになっています。こうした背景からも、資源循環と脱炭素を両立するサーキュラーエコノミーへの関心が高まっています。
EUを中心とした政策・規制強化
サーキュラーエコノミーを推進する動きは、企業の自主的な取り組みにとどまりません。近年はEUを中心に制度化が進められています。
EUは2020年に「Circular Economy Action Plan(CEAP)」を公表し、サーキュラーエコノミーへの移行を成長戦略の一つとして位置付けました。その具体化として、ESPR(エコデザイン規則)、DPP(デジタルプロダクトパスポート)、欧州電池規則などの制度整備が進められています。
これらの制度は、製品のライフサイクル全体を通じて資源循環を促進し、製品の持続可能性や透明性を高めることを目的としています。
日本政府による推進
日本でも、サーキュラーエコノミーは重要な政策テーマとして位置付けられています。
経済産業省は「成長志向型の資源自律経済戦略」を公表し、資源循環を新たな成長機会として捉える方針を示しています。また環境省も循環経済への移行や地域資源循環モデルの構築を推進しており、企業・自治体・地域が連携した取り組みを後押ししています。
このように、サーキュラーエコノミーは環境政策だけでなく、産業政策や経済政策の観点からも推進されているテーマとなっています。
3.サーキュラーエコノミーと3Rの違い
サーキュラーエコノミーを理解するうえで、よく比較されるのが3Rです。両者は資源を有効活用するという点では共通していますが、目的や考え方には違いがあります。
3Rとは
3Rとは、Reduce(発生抑制)、Reuse(再利用)、Recycle(再資源化)の3つの取り組みを指します。日本では2000年に循環型社会形成推進基本法が制定されるなど、廃棄物問題への対応や資源の有効活用を目的として3Rが推進されてきました。
具体的には、廃棄物となる製品の使用量を減らす(Reduce)、製品を繰り返し使う(Reuse)、使用後に資源として再利用する(Recycle)といった取り組みを通じて、廃棄物の削減を目指します。
サーキュラーエコノミーと3Rの違い
3Rとサーキュラーエコノミーはどちらも資源循環を目指しますが、その目的や対象範囲は異なります。
| 項目 | 3R | サーキュラーエコノミー |
|---|---|---|
| 主な目的 | 廃棄物削減 | 新規資源採取の最小化 |
| 主な視点 | 廃棄物管理 | 資源循環と経済成長 |
| 対象範囲 | 廃棄後の資源活用 | 製品ライフサイクル全体 |
| 主な取り組み | Reduce・Reuse・Recycle | 長寿命化、修理、再利用、再製造、再生材利用、リサイクル |
| 重視する価値 | 廃棄物の削減 | 資源・製品価値の維持と活用 |
3Rが主に廃棄物削減を目的として発展してきたのに対し、サーキュラーエコノミーは製品の設計から調達、製造、利用、回収までを含めたライフサイクル全体を対象としています。また、サーキュラーエコノミーでは、リサイクルだけでなく、長寿命化や修理、再利用、再製造などを通じて、資源や製品の価値をできるだけ長く維持・活用することが重視されています。
このように、3Rが廃棄物管理を中心とした考え方であるのに対し、サーキュラーエコノミーはより広い視点で資源循環を捉える概念といえます。
4.なぜサーキュラーエコノミーは企業経営のテーマになるのか
サーキュラーエコノミーは、環境部門だけが取り組むテーマではありません。資源調達、製品設計、製造、販売、回収など、企業活動全体に関わるテーマです。
前章で見たように、資源制約や脱炭素、規制強化などを背景として、サーキュラーエコノミーは企業経営に関わる重要なテーマとして位置付けられるようになっています。また、サーキュラーエコノミーへの対応は短期的にはコスト増につながる場合がある一方で、中長期的には資源調達リスクの低減や競争力向上、新たな事業機会の創出につながる可能性があります。
そのため近年は、環境施策としてだけでなく、企業のリスク管理や成長戦略の観点からも注目されています。
サーキュラーエコノミーは企業単独では実現できない
サーキュラーエコノミーの特徴の一つは、自社だけで完結しないことです。
例えば、製品の修理を促進するためには、修理可能な製品設計だけでなく、交換部品の供給体制や修理サービス網の整備が必要になります。また、再生材利用を拡大するためには、使用済み製品の回収、分別、再資源化、再生材製造といった仕組みが機能しなければなりません。
こうした取り組みは、一企業だけでは実現できず、サプライヤー、顧客、回収事業者、再資源化事業者など、多様なステークホルダーとの連携が求められます。
経営判断がなければ資源循環の仕組みは生まれない
一方で、サプライチェーン全体の仕組みづくりは、業界任せにしていても進みません。例えば再生材市場の拡大には、再生材を安定的に利用する企業の存在が必要です。修理サービスの普及にも、修理を前提とした製品設計や部品供給方針が求められます。
こうした取り組みは、環境部門だけで判断できるものではなく、調達、設計、製造、営業など複数部門に関わる意思決定が必要になります。
そのためサーキュラーエコノミーは、個別施策ではなく経営方針として取り組むことが重要になります。
サーキュラーエコノミーはリスクと機会の両面を持つ
サーキュラーエコノミーへの対応は、環境貢献だけを目的とした取り組みではありません。企業にとっては、将来のリスクへの備えであると同時に、新たな機会を生み出す可能性もあります。
短期的にはコスト増や業務負荷が発生する場合もあります。しかし中長期的には、資源制約や規制強化が進む中で、事業継続や競争力確保の観点から重要性が高まる可能性があります。
| リスクへの対応 | 機会の創出 |
|---|---|
| 資源価格高騰への対応 | 新たな市場・サービスの創出 |
| 地政学リスクへの対応 | 競争優位性の確保 |
| 人権・環境リスクへの対応 | ブランド価値向上 |
| 規制強化への対応 | 欧州市場などへのアクセス維持 |
| 顧客要求への対応 | 顧客との新たな関係構築 |
企業活動全体での取り組みが求められる
このように、サーキュラーエコノミーは単なるリサイクル活動ではありません。資源調達から製品設計、製造、利用、回収までを含めた企業活動全体に関わるテーマであり、その実現には経営層の方針と組織横断的な取り組みが欠かせません。
では、企業は具体的にどのような活動を通じてサーキュラーエコノミーを実現していくのでしょうか。次章では、設計・調達・製造・利用・回収という製品ライフサイクルの各段階における取り組みを整理します。
5.サーキュラーエコノミーを実現するための企業活動
サーキュラーエコノミーは、回収やリサイクルだけで実現できるものではありません。
製品の設計から調達、製造、利用、回収まで、ライフサイクル全体で資源や製品の価値を維持・活用し、新規資源採取への依存を減らしていくことが重要です。
設計段階で資源利用の方向性が決まる
サーキュラーエコノミーでは、設計段階が重要な出発点となります。例えば、長寿命化設計や修理可能設計は、製品をより長く利用することにつながります。また、再生材の利用やリサイクルしやすい構造を採用することで、将来的な資源循環も進めやすくなります。
製品ライフサイクル全体を見据えた設計は、サーキュラーエコノミーを実現するための基盤といえます。
調達・製造段階で資源循環を実現する
設計で定めた方針を実際の製品に反映するのが、調達・製造段階です。例えば、再生材利用を進めるためには、品質や供給量を満たす材料を確保する必要があります。また、製造工程で発生する端材や廃棄物を削減することも、資源利用効率の向上につながります。
サーキュラーエコノミーでは、設計・調達・製造が連携しながら資源利用を最適化していくことが求められます。
利用段階で製品価値を維持する
サーキュラーエコノミーでは、製品をできるだけ長く利用することも重要な考え方です。メンテナンスや修理によって製品寿命を延ばすことができれば、新たな製品製造や資源投入を抑えることにつながります。
そのため近年は、製品販売だけでなく、保守サービスや製品利用期間の延長を重視するビジネスモデルも増えています。
回収段階で資源を有効活用する
使用済み製品を回収し、再利用やリサイクルにつなげることもサーキュラーエコノミーの重要な要素です。ただし、回収やリサイクルだけでサーキュラーエコノミーが実現するわけではありません。回収後の再利用や再資源化を見据えた設計や、回収スキームの構築など、ライフサイクル全体を通じた取り組みが必要になります。
このように、サーキュラーエコノミーは特定の部門や工程だけで実現できるものではありません。設計、調達、製造、利用、回収というライフサイクル全体を通じて取り組むことで、初めて資源や製品の価値を維持・活用することが可能になります。

6.サーキュラーエコノミーは企業・製品にどのような影響を与えるのか

ここまで見てきたように、サーキュラーエコノミーは単なるリサイクルや廃棄物削減の取り組みではありません。資源や製品の価値を長く維持・活用することで、企業活動全体や製品そのものにさまざまな影響を与えます。
特に近年は、企業単位での脱炭素経営や、製品単位での環境情報開示との関係から、サーキュラーエコノミーへの関心が高まっています。
企業レベルでは資源利用やScope3に影響する
企業レベルでは、サーキュラーエコノミーの取り組みが資源利用の効率化や廃棄物削減につながります。例えば、再生材利用を進めることで新規資源への依存を低減できれば、資源制約や価格変動リスクへの対応につながります。また、製造ロスの削減や再利用の推進は、廃棄物発生量の削減にも寄与します。
さらに近年は、企業の温室効果ガス排出量をサプライチェーン全体で捉えるScope3への関心も高まっています。サーキュラーエコノミーの取り組みは、原材料調達や廃棄物処理などに関連する排出量にも影響を与えるため、脱炭素の観点からも重要性が高まっています。
※Scope3については、こちらの記事で解説しています。
→ 【What編】Scope3とは?対象範囲・15カテゴリ一覧・算定方法・課題と企業対応をわかりやすく解説
製品レベルではCFPや製品規制に影響する
製品レベルでは、サーキュラーエコノミーの考え方が製品の環境性能や製品情報の管理に影響を与えます。例えば、再生材利用や長寿命化設計は、製品ライフサイクル全体での資源利用や環境負荷に影響を与えます。特に長寿命化は製品単体の環境負荷を増加させる場合もありますが、使用期間全体で見ると新たな製品製造や資源投入の抑制につながる可能性があります。
また近年は、欧州を中心に製品単位での環境情報開示やトレーサビリティの重要性が高まっています。ESPR(エコデザイン規則)やDPP(デジタルプロダクトパスポート)、欧州電池規則などの制度も、サーキュラーエコノミーの考え方を背景として整備が進められています。
こうした制度では、製品の環境性能や資源循環性に関する情報の把握・管理が求められます。CFP(カーボンフットプリント)は、その代表的な指標の一つとして活用が進んでいます。
※CFPについては、こちらの記事で解説しています。
→ カーボンフットプリント(CFP)とは ― 製品のGHG見える化から企業全体の削減へ
サーキュラーエコノミーは企業と製品の両方に関わる
サーキュラーエコノミーは、企業レベルの資源利用や脱炭素への取り組みと、製品レベルの環境性能向上や規制対応の両方に関わる考え方といえます。
企業の資源調達方針や製品設計方針は、最終的に製品の環境性能や資源循環性に反映されます。一方で、製品規制や顧客要求の変化は、企業の調達や設計、製造方針にも影響を与えます。
このようにサーキュラーエコノミーは、企業と製品を別々に捉えるのではなく、ライフサイクル全体を通じて資源や製品の価値を維持・活用するための考え方として位置付けられています。
7.サーキュラーエコノミーに関連する政策・規制動向
サーキュラーエコノミーは、企業の取り組みだけでなく、各国の産業政策や経済政策とも深く関係しています。
特にEUでは、脱炭素社会への移行や資源制約への対応を背景として、サーキュラーエコノミーを推進する制度や規制の整備が進められています。また日本でも、資源循環を経済成長や産業競争力強化につなげる取り組みが進められており、企業活動への影響は今後さらに大きくなると考えられています。
EUがサーキュラーエコノミーを推進する理由
EUでは、気候変動への対応や脱炭素社会への移行を進める中で、サーキュラーエコノミーが重要な政策テーマとなっています。
製品を長く利用し、再利用や再資源化を進めることで、新規資源採取や温室効果ガス排出量の削減につながると考えられているためです。またEUは資源の多くを域外に依存しており、重要鉱物やエネルギー資源の安定確保も重要な課題となっています。
こうした背景からEUは2020年に「Circular Economy Action Plan(CEAP)」を公表し、製品設計から資源循環までを含めた経済システム全体の変革を進めています。
サーキュラーエコノミーは、環境負荷の低減だけでなく、資源自律性の向上や産業競争力強化を実現するための戦略として位置付けられています。
日本でもサーキュラーエコノミー政策が進んでいる
日本でも、サーキュラーエコノミーは重要な政策テーマとなっています。2023年に「成長志向型の資源自律経済戦略」が策定されました。現在は方向性を示す段階から、実際の市場形成や企業行動を促進する段階へと移行しつつあります。
経済産業省は同戦略の元、資源循環を経済成長や産業競争力向上につなげる方針を示しています。また環境省も、循環経済への移行や地域資源循環モデルの構築を推進しており、自治体や企業と連携した取り組みを進めています。
EUが制度・規制を通じて市場変革を進めているのに対し、日本では資源循環を新たな成長機会として捉え、産業競争力強化につなげる動きが進められています。
サーキュラーエコノミーを具体化する主要制度
サーキュラーエコノミーの考え方は、近年のさまざまな制度や規制に加え、企業に求められる情報開示や算定の枠組み(指標)にも反映されています。
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これらは目的や対象が異なりますが、いずれも製品や資源のライフサイクル全体を重視するという点で、サーキュラーエコノミーと深く関係しています。
※サーキュラーエコノミーとCFP・ESPR・DPP・欧州電池規則の関係については、こちらの記事で解説しています。
→ 製品サステナビリティ規制とは?CFP・ESPR・DPP・電池規則の全体像を整理(近日公開予定)
制度対応ではなく経営テーマとして捉えることが重要
サーキュラーエコノミーへの対応は、個別制度への対応だけを目的とするものではありません。~~一方で、~~近年の制度や規制の多くは、サーキュラーエコノミーの考え方を背景として整備が進められています。
そのため企業には、「ESPRへの対応」「DPPへの対応」といった個別の制度対応として捉えるだけでなく、中長期的な資源戦略や事業戦略の一環としてサーキュラーエコノミーを捉える視点が求められています。
特に今後は、資源制約や脱炭素、製品規制への対応が経営課題となる中で、サーキュラーエコノミーが企業競争力に与える影響はさらに大きくなると考えられます。
8.サーキュラーエコノミーへの取り組みを始めるには
サーキュラーエコノミーは、資源調達から製品設計、製造、利用、回収まで幅広い領域に関わるため、「何から始めればよいかわからない」と感じる企業も少なくありません。一方で、欧州では制度整備が進み、日本でも資源循環市場の形成や企業の取り組みを後押しする政策が強化されています。サーキュラーエコノミーは将来の構想ではなく、実装フェーズへ移行しつつあるテーマといえます。
重要なのは、サーキュラーエコノミーを単なる環境施策としてではなく、自社のリスクや機会と結び付けて捉えることです。そのうえで、自社にとって重要な資源や製品を把握し、既存の取り組みと結び付けながら段階的に進めることが重要です。
自社にとって重要な資源や製品を把握する
サーキュラーエコノミーへの取り組みは、自社にとって重要な資源や製品を把握することから始まります。
例えば、特定の原材料への依存度が高い場合や、資源価格の変動、地政学リスク、人権・環境リスクが事業に影響を与える場合には、再生材利用や資源循環の取り組みが重要になる可能性があります。一方で、再生材利用や修理サービス、回収スキームの構築などを新たな事業機会として捉える企業も増えています。
そのため、リスクだけでなく、自社にとってどのような機会があるかという視点で整理することも重要です。また、製品ごとに使用する資源やライフサイクルが異なるため、まずは重点的に取り組むべき製品や事業領域を整理することが重要です。
重要製品からスモールスタートする
サーキュラーエコノミーは企業全体の変革につながる考え方ですが、最初から全製品・全事業を対象にする必要はありません。
まずは主要製品や重点事業を対象に、再生材利用や長寿命化設計、回収スキームの検討など、小さな取り組みから始める方法もあります。特に近年は、製品単位での環境情報開示やトレーサビリティへの対応が求められるケースも増えています。
まずは重要製品を対象に取り組みを進めることで、将来的な制度対応だけでなく、新たな事業機会の創出にもつながる可能性があります。
既存の脱炭素・Scope3活動と結び付ける
前述のように、EUでサーキュラーエコノミーが推進される背景には、資源制約への対応だけでなく、脱炭素社会への移行という目的もあります。
実際に、再生材利用や製品の長寿命化、廃棄物削減などの取り組みは、新規資源採取や関連する温室効果ガス排出量にも影響を与える可能性があります。そのため、サーキュラーエコノミーは脱炭素やScope3算定・削減とも密接に関係しています。
新たな活動として切り離して考えるのではなく、既存の脱炭素活動やScope3算定・削減活動とあわせて検討することで、より効果的に取り組みを進めることができます。
※Scope3やCFPとの関係については、以下の記事も参考になります。
→ 【What編】Scope3とは?対象範囲・15カテゴリ一覧・算定方法・課題と企業対応をわかりやすく解説
→ カーボンフットプリント(CFP)とは ― 製品のGHG見える化から企業全体の削減へ
9.まとめ|サーキュラーエコノミーは資源制約時代の経営テーマ
サーキュラーエコノミー(循環経済)とは、資源や製品の価値をできるだけ長く維持・活用し、新規資源採取への依存を減らすことを目指す考え方です。従来の3Rが主に廃棄物削減を目的としていたのに対し、サーキュラーエコノミーは資源循環を通じて経済成長や産業競争力の向上も目指しています。
また近年は、資源制約や地政学リスク、脱炭素への対応に加え、ESPRやDPP、欧州電池規則などの制度整備が進んでいることから、企業活動への影響も大きくなっています。
サーキュラーエコノミーは、環境部門だけが取り組むテーマではありません。資源調達、製品設計、製造、利用、回収までを含めた企業活動全体に関わるテーマであり、経営判断や事業戦略とも密接に関係しています。そのため重要なのは、サーキュラーエコノミーを単なる環境施策として捉えるのではなく、自社にとってのリスクと機会の両面から考えることです。
まずは重要な資源や製品を把握し、既存の脱炭素活動やScope3対応と結び付けながら、自社に合った形で取り組みを進めていくことが求められます。
FAQ
Q1 サーキュラーエコノミーと3Rの違いは何ですか?
サーキュラーエコノミー(循環経済)と3R(リデュース・リユース・リサイクル)は密接に関係していますが、目的や考え方が異なります。
3Rは主に廃棄物削減を目的とした取り組みであるのに対し、サーキュラーエコノミーは資源や製品の価値を維持しながら、新規資源採取への依存を減らし、経済成長や産業競争力向上も目指す考え方です。
そのためサーキュラーエコノミーは、3Rを含むより広い概念として位置付けられています。
Q2 サーキュラーエコノミーと脱炭素はどのような関係がありますか?
サーキュラーエコノミーと脱炭素は異なるテーマですが、密接に関係しています。
例えば、再生材利用や製品の長寿命化、廃棄物削減などの取り組みは、新規資源採取や製造に伴う温室効果ガス排出量の削減につながる可能性があります。
また、EUでは脱炭素社会への移行を進める中でサーキュラーエコノミー政策が推進されており、Scope3やCFPなどの取り組みとも関係しています。
Q3 サーキュラーエコノミーとESPR・DPPの関係は何ですか?
ESPR(エコデザイン規則)やDPP(デジタルプロダクトパスポート)は、サーキュラーエコノミーの考え方を具体化するための制度です。
ESPRは製品の耐久性や修理可能性、再生材利用などを促進する規制であり、DPPは製品の環境情報や資源情報をデジタルで管理・共有する仕組みです。
どちらも製品ライフサイクル全体で資源循環を実現することを目的としています。
Q4 企業はサーキュラーエコノミーに何から取り組めばよいですか?
まずは、自社にとって重要な資源や製品を把握することが重要です。特に資源価格変動や供給リスクの影響を受けやすい原材料を使用している場合は、再生材利用や資源循環の検討が有効です。
また、既存のScope3算定や脱炭素活動とあわせて検討することで、効率的に取り組みを進めることができます。
参考
- 成長志向型の資源自律経済戦略|経済産業省
https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230331010/20230331010.html - 循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行加速化パッケージ|内閣官房
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/economiccirculation/pdf/honbun.pdf - サーキュラーエコノミー 経済産業省 https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/shigenjunkan/circular_economy/action/index.html
- 循環経済に関する政策動向 環境省
https://www.env.go.jp/recycle/circul/ - Circular Economy Action Plan(CEAP)|European Commission
https://environment.ec.europa.eu/strategy/circular-economy-action-plan_en




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