TNFD・A4S、CFO向け自然関連リスクガイドを公表 財務・リスク管理への統合を促す

TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)は2026年6月2日、Accounting for Sustainability(A4S)と共同で、CFO向けガイド「Asking Better Questions on Nature: For Chief Financial Officers」を公表した。同ガイドは、ロンドンで開催されたA4S Summitで発表された。

この資料は、企業の自然への依存・影響、自然関連リスク・機会が、財務パフォーマンスや将来見通しにどのような影響を与え得るかをCFOが確認するためのもの。財務、リスク管理、資本配分、企業価値評価、業績管理、財務計画、戦略判断に自然関連情報を組み込むための視点を示している。

CFOが確認すべき11の質問を提示

CFO自身、財務部門、社内の関係部門が確認すべき11の質問が示されている。主なテーマは、リスク管理、資本配分、企業価値評価、業績管理、財務計画、戦略的意思決定などである。

A4Sの発表では、S&P Global 1200指数に含まれる企業の85%が、直接操業において自然に大きく依存しているとの調査にも触れられている。自然関連課題は、特定業種だけのテーマではなく、多くの企業にとって財務・経営判断に関わる論点になりつつある。

自然関連リスクが財務に与える影響

企業の自然への依存や影響から生じるリスクとして、座礁資産、操業停止、製造コストの上昇、保険料の増加、資産価値の低下などが挙げられている。

水資源、生物多様性、土地利用、森林、海洋資源などに依存する企業では、自然環境の変化がサプライチェーンや生産活動に影響する可能性がある。規制強化や投資家からの要請が高まる中で、自然関連情報を把握し、財務・リスク管理に反映することの重要性が高まっている。

財務部門に求められる役割

自然関連情報は、開示資料の作成だけでなく、財務・リスク管理プロセスの中で活用し、経営判断につなげることが重視されている。財務・リスク管理プロセスの中で活用し、経営判断につなげることが重視されている。

CFOには、自然関連の依存・影響が、将来キャッシュフロー、資産価値、投資判断、保険コスト、資本配分にどのような影響を与えるかを確認する役割がある。財務部門が経営陣や取締役会に提出する資料の中に、自然関連リスク・機会が十分に反映されているかを点検することも重要となる。

SLM編集部コメント|自然関連課題を財務判断に組み込む段階へ

このガイドで特に意識したいのは、自然関連課題が財務判断に直結するテーマとして扱われている点です。自然への依存や影響は、操業リスク、調達コスト、保険料、資産価値、投資判断に影響する可能性があります。

特に、農林水産、食品、化学、建設、製造、小売など、自然資本との関係が深い業種では、自然関連リスクを財務・リスク管理の中でどう扱うかが重要になります。

今後は、TNFD対応を開示準備として進める段階から、自然関連情報を事業計画、投資判断、リスク管理、資本配分に反映する段階へ移っていくと考えられます。CFOや財務部門が早い段階から関与することで、自然関連課題を経営判断に接続しやすくなります。

企業にとっては、自社の事業やサプライチェーンがどの自然資本に依存しているのか、どこに財務影響が生じ得るのかを把握することが出発点となります。そのうえで、サステナビリティ部門、財務部門、リスク管理部門が連携し、自然関連情報を経営管理に組み込む体制づくりが重要になります。

参考

TNFD「For Chief Financial Officers」

TNFD「TNFD and A4S release guide for CFOs on nature-related issues」

A4S「Nature」

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