コーポレートガバナンス・コード改訂案を公表・パブリックコメント中|サステナビリティ・非財務開示への影響は?

金融庁および東京証券取引所は、コーポレートガバナンス・コードの改訂案を公表し、パブリックコメントの募集を開始しました(令和8年5月15日まで)。(金融庁HP)。

今回の改訂は、近年のコーポレートガバナンス改革の進展を踏まえ、原則の整理や統合を行うとともに、企業の実質的な対応を促すことを目的としています。

特に、「プリンシプルベース・アプローチ(原則主義)」および「コンプライ・オア・エクスプレイン」の考え方を改めて強調し、形式的な対応ではなく、企業ごとの状況に応じた説明責任の充実が求められる内容となっています。

■ 改訂(案)の主なポイント

● 原則の整理・統合(プリンシプル化・スリム化)

今回の改訂では、補充原則の統合や削除が行われ、重要な論点がより明確化されています。

形式的なチェックリスト対応ではなく、各原則の趣旨に基づいた実質的な対応が求められる方向性が示されています。

● 情報開示の位置づけの明確化

改訂案では、財務情報に加えて、経営戦略・リスク・ガバナンスなどの非財務情報についても、「正確で分かりやすく、有用性の高い情報として開示すること」が求められています。

これは、単なる情報開示ではなく、投資家との対話の基盤として機能する情報であることが前提とされています。

● サステナビリティを経営課題として明確化

サステナビリティに関する記載は整理・統合された上で、取締役会の責務として「中長期的な企業価値向上の観点から対応すべき重要課題」として位置づけられています。

気候変動、人権、人的資本などのテーマは、リスク対応にとどまらず、収益機会にもつながる経営課題として捉えるべきであることが明確に示されています。

■ 企業実務への示唆(重要ポイント)

今回の改訂案はコーポレートガバナンスに関するものですが、実務的にはサステナビリティ開示への影響も示唆しています。

特に、

  • 非財務情報が投資判断の基盤として位置づけられている点
  • 開示内容の「分かりやすさ」「有用性」が重視されている点

は、SSBJ基準に基づくサステナビリティ開示の考え方と整合的です。

このため、企業においては単なる開示対応にとどまらず、投資家に対して説明可能な形で情報を整理・開示することの重要性が一層高まると考えられます。

また、サステナビリティ開示は制度対応としての側面だけでなく、企業価値との関係を説明する情報へと重心が移りつつあります。

今回の改訂は、その方向性をガバナンスの観点から補強するものであり、結果として、SSBJ開示における説明責任の水準を引き上げる可能性があります。

■ 今後のスケジュール

本改訂案については、現在パブリックコメントが募集されており、今後、意見を踏まえた上で正式な改訂が行われる予定です。

企業においては、確定後の対応に備えつつ、開示の質や説明責任のあり方について早期に検討を進めることが重要といえます。

■ 参考情報

金融庁公表資料

https://www.fsa.go.jp/news/r7/singi/20260410.html

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