SSBJ対応における第三者保証の前提となる内部統制と情報整備の考え方
目次
サステナビリティ情報に対する第三者保証の議論が本格化する中で、「保証をどう受けるか」以前に、そもそも保証の議論ができる状態にあるかを、多くの企業が改めて確認する必要に迫られています。
SSBJ対応を進めるにあたり、第三者保証は将来的な制度運用を見据えた前提として認識されつつあります。一方で、企業が直面している課題は、保証基準や保証手法そのものではなく、内部統制や情報整備といった前提条件が十分に整っていないという点にあります。
特に、内部統制や情報整備がどこまで求められるのか分からず、第三者保証の検討に進めない企業も少なくありません。
本記事では、第三者保証を前提としてSSBJ対応を進めるにあたって、内部統制と情報整備をどのような考え方で捉えるべきかを整理します。
SSBJ対応において第三者保証の議論が成り立つ前提とは
第三者保証とは、開示に用いられる情報が一定の基準に照らして妥当であるかを、独立した第三者が検証し、意見を表明するプロセスです。
このとき評価の対象となるのは、数値の正確性に限られるものではありません。
- 開示に用いられる情報が、どのような前提やプロセスで作成されているか
- 根拠となるデータや証憑が適切に管理されているか
- 組織としての内部統制や承認プロセスが機能しているか
といった、情報の生成・管理プロセス全体が確認されます。
つまり、第三者保証の議論が成り立つかどうかは、内部統制と情報整備という土台が整っているかどうかに大きく左右されます。制度的要件への理解が保証対応の出発点構築や保証人との対話は実効性を持ちません。
内部統制と情報整備が不十分な状態で起きやすい課題
内部統制や情報整備が十分でない状態では、以下のような問題が顕在化しやすくなります。
- データの出所や算定根拠を後から説明できない
- 部門ごとに定義や粒度が異なり、整合が取れない
- 修正履歴や承認経路が不明確で、再現性が担保できない
こうした状態で第三者保証を前提とした対応を検討した場合、
- 想定以上の工数や調整が必要となる
- 保証対応を効率的に進めることが難しくなる
- 制度開示のスケジュールに影響が生じる
といった実務上の負荷が大きくなりがちです。
さらに、情報や業務プロセスの整理状況によっては、
保証人が十分な検証を行えず、結果として保証意見の表明が困難となるケースも想定されます。
内部統制は第三者保証とどうつながるのか
内部統制というと、「保証や監査のために整備するもの」という印象を持たれがちです。
しかし、サステナビリティ情報における内部統制は、まず日常的な開示実務を安定させるための仕組みとして捉える必要があります。
- 誰がどの情報に責任を持つのか
- どのタイミングで確認・承認が行われるのか
- どのような基準で修正や差し戻しが行われるのか
こうした点を明確にすることは、情報の属人化を防ぎ、継続的な開示を可能にします。
第三者保証は、こうした内部統制が結果として適切に機能しているかを外部から確認する行為と位置づけることができます。
内部統制と情報整備をどう捉えるべきか
SSBJ対応における内部統制や情報整備は、単なるチェック体制や事務的な整備項目としてではなく、継続的な開示実務を支える基盤として捉えることが重要です。
そのうえで、いきなり完成形を目指すのではなく、
- 現在の内部統制や情報管理レベルを把握する
- 制度対応として求められる水準を理解する
- 将来的な制度の具体化や開示要件の精緻化に対応できる余地を認識する
という段階的な捉え方が求められます。
これらを踏まえると、第三者保証の有無にかかわらず、保証対応を前提とした情報管理や業務プロセスを意識した体制整備が、SSBJ対応を進めるうえで重要な前提となります。
次のステップ:第三者保証の位置づけと現実的な論点へ
第三者保証をSSBJ対応の中でどのように位置づけるかについては、以下の記事で整理しています。
- サステナビリティ第三者保証 ~実務対応の第一歩:情報整備と内部統制への具体的アプローチ~ └ 制度と実務の中で第三者保証をどう捉えるべきかを整理
また、保証対応を進めるうえで避けて通れない、コストや体制格差といった現実的な論点については、次の記事で扱っています。
まとめ|「保証を前提に議論できる状態」を整える
第三者保証は、SSBJ対応において重要なテーマですが、それを有効に機能させるためには、まず内部統制と情報整備という前提条件を整える必要があります。
第三者保証を前提としてSSBJ対応を進める中で、
- 自社の内部統制や情報管理はどの水準にあるのか
- 組織としての統制は実務の中で機能しているのか
- 制度運用が具体化していく中でも、無理なく対応を継続できる土台があるのか
を整理することが、SSBJ対応を前に進める第一歩となります。
本記事が、第三者保証を見据えたSSBJ対応を検討するための“前提整理”として役立てば幸いです。
出典
金融庁「サステナビリティ情報の開示と保証に関するワーキング・グループ」議事録・資料(2024年5月14日) https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/sustainability_disclose_wg/shiryou/20240514.html
KPMGジャパン『日本の企業報告に関する調査2023』https://kpmg.com/jp/ja/home/insights/2023/09/sustainability-reporting-survey-2023.html




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