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よくある質問

ESPRが企業に求める変更点は?

ESPRでは、企業に対し、製品設計と情報開示の両面での対応が求められます。主な変更点は以下のとおりです。
・製品の耐久性・修理可能性・アップグレード性の確保
・再利用やリサイクルを前提とした設計(デザイン・フォー・サステナビリティ)
・素材や化学物質に関する情報の開示強化(DPPとも連動)
・不要在庫や破棄製品の削減に向けた製造・流通の見直し
ESPRの導入は、製品ライフサイクル全体の再設計を促すものであり、単なる法令対応にとどまらず、事業戦略や製品開発にも影響を与える重要な制度です。

ESPRの対象製品は?

ESPRでは、製品カテゴリごとに詳細な要件が定められる仕組みですが、その導入に向けた最初の優先対象が、2025〜2030年のワークプランで指定されています。具体的には、
・最終製品
 繊維製品
 家具
 タイヤ
 マットレス
・中間製品
 鉄鋼
 アルミニウム
委任法(Delegated Acts)により、各製品グループに対して耐久性、修理性、リサイクル性などのエコデザイン要件が段階的に設定される予定です。

ESPRの概要は?

ESPR(エコデザイン持続可能性要件規則:Ecodesign for Sustainable Products Regulation)は、EUが提案する規則で、製品の設計段階から環境配慮を義務づける制度です。
従来の「エネルギー効率」にとどまらず、耐久性・修理性・リサイクル性・含有物質管理など、製品のライフサイクル全体にわたる持続可能性の確保を目指しています。

DPP対応製品の事例はありますか?

DPPはまだ本格導入前ですが、一部の分野で試行導入や実証実験が進められています。代表的な例には以下があります。
・家電製品(洗濯機、冷蔵庫など)
・電池・蓄電池(EV用バッテリーなど)
・繊維製品(アパレル、布地など)
・電子機器(スマートフォン、PCなど)
将来的には、建材やパッケージなど他の製品群への拡大も検討されています。

DPPに求められる情報項目は?

DPPには、製品の環境性能や構成に関する多様な情報が求められます。主な項目は次のとおりです。
・素材の組成や含有化学物質
・リサイクル性・再利用性に関する情報
・製品の修理可能性や修理履歴
・製造地・サプライチェーンに関する情報
・CO₂排出量などの環境フットプリント
これらの情報は、QRコードやクラウド経由でアクセス可能な形で提供されることが想定されています。

DPP(デジタル製品パスポート)とは?

DPP(デジタル製品パスポート)とは、製品に関する環境・素材・修理などの情報を、デジタル形式で管理・共有する仕組みです。

EUが循環経済を推進するための一環として導入を進めており、製品のサステナビリティやリサイクル性を向上させることを目的としています。

CBAMへの対応ステップは?

CBAM対応のため、企業には以下のようなステップが求められます:
①対象製品の炭素排出強度(原材料・製造段階の排出量)の把握
②EU向け輸出における報告・申告体制の構築
③CBAM証明書(Carbon Certificates)の購入準備と管理
④報告義務や監査への対応(第三者検証含む)
とくに2026年からの本格適用を見据え、現在(2023〜2025年)は移行期間として排出量報告が義務化されており、早期の体制整備が重要です。

CBAMが適用される業界は?

EU-CBAMでは、以下のような温室効果ガス排出量が多い産業分野(高排出セクター)が対象となっています。
鉄鋼、アルミニウム、セメント、肥料、電力、水素
今後は、対象範囲が有機化学品や下流製品などにも拡大する可能性があり、関連するサプライチェーン全体での対応が求められます。

CBAMとは何の略ですか?

CBAMは、Carbon Border Adjustment Mechanism(炭素国境調整メカニズム)の略で、EU等が導入する炭素価格の調整制度です。

EU域外から輸入される特定の高排出製品に対して、EU域内と同等の炭素コストを課すことで、「カーボンリーケージ(排出逃れ)」を防ぎ、域内産業の脱炭素化を公平に進めることを目的としています。