経産省が「蓄電池・電源産業戦略」を公表 バッテリーパスポート・CFP対応を産業政策に位置付け

2026年6月2日、経済産業省は「蓄電池・電源産業戦略」を公表しました。

本戦略は、日本の蓄電池産業の競争力強化とサプライチェーン強靱化を目的として策定されたもので、国内製造基盤の拡充や次世代電池の実用化に向けた方向性が示されています。

今回の戦略で注目されるのは、欧州電池規則(EU Battery Regulation)への対応として、バッテリーパスポート(Battery Passport)、カーボンフットプリント(CFP)、リサイクル、デューデリジェンス(DD)などの取り組みが明確に位置付けられた点です。

製造業や電池関連企業にとっては、単なる環境対応ではなく、今後の事業競争力に関わるテーマとして位置付けられていることが改めて示された形となります。

戦略の概要

経済産業省は本戦略において、以下の3つの目標を掲げています。

  • 国内製造基盤の確立
  • グローバルプレゼンスの確保
  • 次世代電池市場の獲得

具体的には、2030年代半ばまでに蓄電池・部素材・製造装置を含む国内製造基盤150GWh/年の確立を目指すとともに、日本企業の蓄電池関連売上高を2025年から2035年にかけて3倍へ拡大する方針を示しています。

また、2030年頃の全固体電池の本格実用化も目標として掲げられています。

蓄電池エコシステム構築に向けた取り組みを明記

今回の戦略では、持続可能な「蓄電池エコシステム」の構築が重要テーマとして位置付けられています。

具体的には、

  • バッテリーパスポートの構築・活用
  • カーボンフットプリント(CFP)への対応
  • リユース・リサイクルの推進
  • 人権・環境デューデリジェンス(DD)への対応

などが盛り込まれました。

また、2031年から段階的に適用される再生材利用義務を見据え、2028~2030年頃に再生材を活用した電池製造・販売を目指す方針も示されています。

これらは欧州電池規則で求められる要件とも重なるものであり、経済産業省は持続可能な蓄電池エコシステムの構築を通じて、日本の産業競争力強化につなげる方針を示しています。

※欧州電池規則記事はこちらを参照してください。 → https://booost-tech.com/media/category/product-regulation-overseas/eubattery/

企業に求められる対応とは

これまでバッテリーパスポートやCFPは、「EU向け輸出企業が対応する規制」というイメージで語られることが少なくありませんでした。

しかし今回の戦略では、これらが日本の産業競争力強化やサプライチェーン強靱化と一体のテーマとして扱われています。

今後は電池メーカーだけでなく、

  • 自動車メーカー
  • 部材メーカー
  • 商社
  • リサイクル事業者
  • サプライチェーン上の関連企業

においても、CFP算定やデータ管理、トレーサビリティ対応の重要性が高まる可能性があります。

※CFP記事はこちらを参照してください。 → https://booost-tech.com/media/category/product-regulation-jp/cfp/

※デューデリジェンス記事はこちらを参照してください。 → https://booost-tech.com/media/tag/デューデリジェンス

今後の動向に注目

欧州電池規則では、カーボンフットプリントの開示やバッテリーパスポートの導入、再生材利用義務などが順次適用される予定です。

今回の「蓄電池・電源産業戦略」は、こうした国際的な制度動向を見据えながら、日本国内でも対応基盤の整備を進めていく方向性を示したものといえます。

今後は、バッテリーパスポートの具体的な運用やCFPデータ管理の仕組みづくりなど、実務レベルでの取り組みがさらに重要になると考えられます。

SLM編集部コメント|欧州規制対応から「蓄電池エコシステム」構築へ

今回の「蓄電池・電源産業戦略」で注目すべき点は、バッテリーパスポートやカーボンフットプリント(CFP)、リサイクル、デューデリジェンス(DD)といった欧州電池規則への対応が、日本の産業政策の中に明確に位置付けられたことです。

これまでこれらのテーマは、主に「EU向け輸出企業が対応すべき規制」として捉えられることが少なくありませんでした。しかし今回の戦略では、経済産業省がバッテリーパスポートの構築・活用やCFP対応、再生材利用の推進などを、サプライチェーン強靱化や国際競争力向上の取り組みとして位置付けています。

これは、欧州電池規則対応が単なるコンプライアンス対応ではなく、今後の市場参入や競争力確保に関わるテーマとして認識され始めていることを示していると考えられます。

また今回の資料では、CFP、バッテリーパスポート、リユース・リサイクル、デューデリジェンスを一体的に捉え、「蓄電池エコシステム」の構築を推進する方向性が示されています。

特にバッテリーパスポートは、欧州で進むDPP(デジタルプロダクトパスポート)の先行事例としても注目されています。

今後は電池メーカーだけでなく、自動車メーカーや部材メーカー、リサイクル事業者など、電池サプライチェーンに関わる企業においても、CFPデータ管理やトレーサビリティ対応への関心がさらに高まることが予想されます。

※DPP記事はこちらを参照してください。 → https://booost-tech.com/media/column-059/

参考

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