EU ESPRが変える「売れ残り製品の廃棄禁止及び廃棄情報の開示」
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EUでは、持続可能な製品設計と循環型経済への移行を目的とした「ESPR(Ecodesign for Sustainable Products Regulation:持続可能な製品のためのエコデザイン規則)」が施行され、未販売消費財の廃棄に対する規制が本格化している。
未販売製品の廃棄規制の対象製品は衣類、シューズであり、この2製品に加えて家電、IT機器、家具、玩具、電池、照明、バッグ、寝具、衛生用品は未販売製品について情報開示が求められている。
本規制は単なる廃棄禁止にとどまらず、「そもそも余らせない」「余っても再販・再利用できる設計にする」ことを企業に求めている。廃棄禁止の対象範囲は今後さらに拡大する可能性が高く、日本企業にとってもサプライチェーン・在庫管理・商品設計の見直しが急務となる。
本記事では、ESPRにおける未販売消費財規制の概要、対象製品、例外規定、先行企業の対応事例を整理し、日本企業に求められる実務対応を解説する。
なぜEUは「売れ残り廃棄」を問題視するのか
ESPR(持続可能な製品のためのエコデザイン規則)は、企業による未販売製品の廃棄を「EU全体の環境問題」として明確に位置付けている。特に繊維分野においては、EU市場に投入される繊維製品のうち約4〜9%が、一度も使用されることなく廃棄されているとされており、過剰生産・大量廃棄型のビジネスモデルからの転換が急務であると認識されている。
この背景には、ファストファッションによる大量在庫の発生、ブランド価値維持を目的とした商品の焼却処分、返品商品の大量廃棄、さらには季節商品の売れ残りといった構造的な問題が存在する。ESPRは、こうした慣行を是正し、製品の耐久性向上や循環型経済への移行を促進することで、資源浪費と環境負荷の低減を目指している。
2段階で進められる未販売消費財廃棄対策
ESPRは 「Regulation (EU) 2024/1781 establishing a framework for the setting of ecodesign requirements for sustainable products」(持続可能な製品のためのエコデザイン要件設定枠組み規則)を指し、本稿では以降「ESPR本法」とする。
ESPRの未販売製品規制は、大きく2つの制度で構成されている。第一に、Article 24では、企業に対して売れ残り製品の廃棄に関する情報開示を義務付けている。企業は、どのような製品を、どの程度廃棄しているのかを公表する必要があり、未販売製品廃棄の実態を透明化することが求められる。
第二に、Article 25では、特定の製品群に対して未販売製品の廃棄そのものを禁止する仕組みが導入されている。まずは環境負荷や社会的影響の大きい分野から対象化し、将来的には対象製品群を段階的に拡大していく方針が示されている。

図:ESPRにおける未販売製品規制の全体像




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