EU、世界初の恒久的炭素除去の自主認証基準を策定 DACCS・BioCCSなど対象に市場創出へ
目次
欧州委員会は、大気中からCO₂を恒久的に除去する活動を認証するための初の自主基準を採択しました。これは「炭素除去・カーボンファーミング規則(CRCF)」に基づく最初の認証手法であり、炭素除去分野における世界初の包括的な自主基準となります。
この新制度により、炭素除去技術への投資促進や市場形成が期待されており、EUは2050年の気候中立達成に向けた重要な一歩を踏み出したと位置づけられています。
対象となる3つの恒久的炭素除去技術
今回の基準は、技術成熟度と気候目標への貢献度を踏まえ、以下の3分野を対象としています。
- DACCS(直接空気回収+貯留)
- BioCCS(バイオ由来排出の回収・貯留)
- バイオ炭(Biochar)による炭素除去
欧州委員会のホークストラ気候担当委員は、今回の制度について次のように述べています。
「EUは炭素除去分野で世界をリードするため、明確で信頼性の高い自主基準を導入しました。これは気候中立の実現に向けた重要な一歩です。」
今回の認証枠組みとガバナンスルールの整備により、これらの技術を用いたプロジェクトはEU認証の申請が可能となり、今後数か月以内に初の認証案件が誕生する見通しです。
EU初の恒久的炭素除去標準の内容
今回採択された3つの認証手法では、以下の要素が明確に定義されています。
- 「1トンの炭素除去」の算定方法
- 永続性(パーマネンス)の確保方法
- 漏出リスクや責任問題への対応
これにより、炭素除去分野で活動する企業や投資家にとって、長らく求められていた制度的な明確性が提供されることになります。
また、既存のEU気候関連法制と整合させることで、
環境的信頼性を確保しつつ、行政負担を最小限に抑える設計となっています。
今後のスケジュール
この委任規則は今後、
- 欧州議会およびEU理事会で2か月間の審査
- 異議がなければ官報掲載
- 掲載から20日後に発効
という流れで施行される予定です。
発効は2026年春頃と見込まれています。
2026年に予定される追加認証手法
欧州委員会は、2026年までに以下の追加認証手法を導入する予定です。
① カーボンファーミング
対象例:
- 農業・アグロフォレストリー
- 泥炭地の再湿地化
- 植林
これにより、農業・林業従事者が成果連動型の収入を得られる仕組みが整備されます。
② バイオベース建材への炭素貯蔵
- 木材などの建材に蓄積された炭素量の認証
- 建設分野での循環型バイオ経済の促進
炭素除去クレジット市場の創設へ
自主市場を立ち上げるため、欧州委員会は以下の施策も発表しました。
- 恒久的除去・カーボンファーミング向けEUバイヤーズクラブの設立
- 公的・民間資金の導入促進
- イノベーション基金によるプロジェクト支援
これにより、炭素除去技術の商業化と市場拡大が加速すると期待されています。
CRCF規則の概要
CRCF規則(2024/3012)は、
- 炭素除去
- カーボンファーミング
- バイオ建材への炭素貯蔵
を対象とした、EU初の統一的な自主認証制度です。
今後は、認証スキーム運営者が欧州委員会へ申請し、標準化された評価プロトコルに基づいて審査される仕組みとなります。
まとめ
EUは、恒久的炭素除去に関する世界初の自主認証基準を導入し、炭素除去市場の制度基盤を整備しました。DACCSやBioCCS、バイオ炭などの技術が正式な認証対象となり、企業や投資家にとって明確なルールが示されたことで、市場形成と投資拡大が進むと見られます。今後はカーボンファーミングや建材分野にも認証制度が拡大し、EUの2050年気候中立目標に向けた重要な政策基盤となる見通しです。
参考




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