EU炭素国境調整措置(CBAM)のよくあるご質問(FAQ)

目次

Booost株式会社が主催するセミナー※等を通じて多くの方からいただいたご質問について、2025年12月に公表された多くの実施法および規則案にもとづいて回答を作成しました。以下の回答は2026年1月29日時点のものです。EUから公表される資料に基づき適宜更新予定です。
 ※Booost、EU CBAM 対応説明会を2025年12月25日に開催 | Booost株式会社のプレスリリース

Q1. CBAMの初回の排出量報告は、いつの実績をいつ提出するのですか?

A.CBAMの初回の年次報告は、2026年1月1日から12月31日までにEUへ輸入された実績を対象として、2027年9月末までに提出することになります。

2025年の実績を2026年に年次報告する必要はありません。

また、CBAM証書の購入・償却についても、この2027年9月の年次申告に合わせて行うことになります。

Q2. 2026年中は排出量の申告やCBAM証書の購入が不要であれば、CBAMレジストリへの登録も不要ではないでしょうか?

A.いいえ。排出量の年次申告や証書購入が不要であっても、CBAMレジストリへの登録は必要です。

2026年1月1日以降、CBAM対象品をEUに輸入するためには、EU側の輸入者がAuthorized CBAM Declarant(認定CBAM申告者)として登録されている必要があります。輸入のたびに、通関手続きの中でCBAM申告者番号(CBAM Account Number)の申告が求められます。

したがって、2026年中は「排出量の確定申告は不要だが、輸入のための登録は必須」という位置づけになります。

Q3. 実測値とデフォルト値のどちらを使うかは、誰が決めるのですか?

A.制度上は、EU側の輸入者(CBAM申告者)が選択します。ただし実務上は、輸入者が実測値を使いたくても、

  • 製造事業者から実測データが提供されない
  • Installation(高炉・電炉等)が第三者検証を受けられない

といった場合には、デフォルト値を使用せざるを得なくなります。このため、形式的な選択権は輸入者にありますが、実態はサプライチェーン側の対応可否に左右されます。

Q4. デフォルト値を使用する場合、第三者検証は必要ですか?

A.不要です。デフォルト値のみを用いて体化排出量を算定する場合、第三者検証を受ける必要はありません。

一方、実測値を使用する場合には、EUに認定された第三者検証機関による検証が必要となります。

Q5. 実測値を選択したが、第三者検証で合理的保証が得られなかった場合はどうなりますか?

A.その場合は、デフォルト値に切り替えて申告することになると考えられます。実測値は、合理的保証を伴う第三者検証が前提となっているため、検証を通過できない場合は使用できません。

Q6. 第三者検証の対象となるのは誰ですか?商社や川中工程も対象になりますか?

A.第三者検証の対象は、高炉・電炉など、EU-ETSの対象施設と同等のInstallation(製造施設)です。

  • 商社やEU輸入者:検証対象ではありません
  • 川中工程(圧延、伸線、二次加工など):原則対象外

第三者検証は原則として現地訪問が必要ですが、一定の条件を満たした場合には、2年目以降に現地訪問が免除される可能性があります。

Q7. 実際のEU向け輸出は商社が行っています。その場合、第三者検証を受ける窓口はどこになりますか?

A.第三者検証を受けるのは、商社ではなく、排出量を実際に発生させている製造工場(Installation)です。商社や輸入者は、検証済みデータをCBAM申告に用いる立場になります。

Q8. 川中工程が免除される場合、原材料の収率は排出量計算に影響しませんか?

A.川中工程が排出量報告の対象外とされているため、収率は考慮されません。CBAMでは、EU-ETSと同等と定義された川上工程のみが排出量報告の対象となります。

Q9. ねじ・ボルトメーカーのように高炉・電炉を持たない企業にも排出量報告義務はありますか?

A.ありません。ねじ・ボルトメーカーなどの川下製造業者は、

  • 排出量の算定義務なし
  • 第三者検証義務なし

となっています。また、2025年10月の制度改正により、これらの製品は算定対象範囲からも除外されています。

Q10. デフォルト値を使う場合、どの国の値を適用するのですか?

A.製品として完成した国(CNコードが確定した国)のデフォルト値を使用します。たとえば、ボルトの場合は、素材ではなく「ボルトとして成形された工場の所在国」が基準になります。

Q11. 無償枠(調整後の証書削減分)は、すでに確認できますか?

A.はい。実施規則の附属書において、ベンチマーク値およびCBAM係数が公表されています。これらを用いて計算することで、無償枠(調整後に必要なCBAM証書数)を算出できます。

Q12. デフォルト値と実測値が同じ排出量だった場合、なぜ初年度は実測値の方がCBAMコストが低くなるのですか?

A.主な理由は以下の2点です。

  1. デフォルト値にはマークアップ率(初年度10%)が上乗せされる
  2. 実測値の方が、無償割当の計算において有利になる場合がある

このため、排出量が同水準であっても、実測値を用いた方がCBAM証書の購入量が少なくなるケースがあります。ただし、除算される無償割当分の計算に用いられるベンチマーク値がデフォルト値と実測値でデフォルト値の方が大きいため、デフォルト値と実測値が同じ数字の場合、2026年、2027年は、デフォルト値が有利になる場合があります。

Q13. 将来的に日本の認証機関(JAB認定など)でCBAM検証は可能になりますか?

A.できません。CBAMの第三者検証は、EUの認定機関に認定された検証機関のみが実施できます。日本国内の認証制度(JAB認定など)は対象外です。

Q14. 年間50トン以下の免除基準は、企業単位ですか、製品単位ですか?

A.EU側の輸入者(CBAM申告者)単位です。鉄鋼・アルミニウム・セメント・肥料の対象品目合計で、年間50トン以下の場合に報告義務が免除されます。製品単位ではありません。

Q15. 実測値の場合、製銑・製鋼のみが対象で、圧延や二次加工の排出量は不要ですか?

A.はい、その理解で問題ありません。CBAMの体化排出量は、施設全体の排出量をプロセス別に配分して計算します。製銑・製鋼工程に排出量が適切に割り当てられていれば、圧延工程や二次加工分を個別に報告する必要はありません。

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