GHGプロトコル改訂の全体像と主な論点の概説

 気候変動への国際的対応が加速する中で、企業による温室効果ガス(GHG)排出の算定と開示の基盤となるGHGプロトコル(Greenhouse Gas Protocol)は、大規模な見直しプロセスに入っています。今回の改訂は、「GHG排出(Scope 1, 2, 3)」にとどまらず、企業組織の境界設定を定める「組織基準(Corporate Standard)」や、市場メカニズムの取扱いに関する「Actions & Market Instruments」までを含む包括的なものです。

 特筆すべきは、この見直し作業において、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)、CDP、GRI(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)など、国際的な開示基準を策定している団体も積極的に参画している点です。これにより、プロトコル改訂は単なる排出算定基準の整備にとどまらず、今後の国際的なサステナビリティ開示フレームワークとの高い整合性を備えたものとなることが期待されています。

 本稿では、改訂全体の方向性を俯瞰した上で、組織基準、スコープ1・3、スコープ2、Actions & Market Instrumentsの各分野ごとの改訂論点を解説し、さらに今後の改訂スケジュールを整理します。

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