ESG 大転換機!米国の潮目変化×EU新潮流 「Booostカンファレンス」開催レポート② 基調講演&実務セッション
目次
連載第2回となる本レポートでは、カンファレンスの基調講演から、公認会計士 森氏による「サステナビリティ開示の潮流から考える戦略的対応の必要性」と、Booost COO 大我 猛による「企業価値を高めるサステナビリティ経営 ― テクノロジーの力をどう活かすか」の2講演をお届けします。
急速に進むサステナビリティ開示の義務化やテクノロジーの進展を背景に、企業がいま取り組むべき“戦略的なサステナビリティ経営”の方向性が語られました。
基調講演:
サステナビリティ開示の潮流から考える戦略的対応の必要性について
登壇者

公認会計士 森 洋一氏
監査法人にて財諸諸表監査、ガバナンス構築、サステナビリティ関連業務を経験。その後、企業開示、サステナビリティ戦略支援、GHG排出削減等に従事。IIRC、CDSB等のメンバーとして、開示・保証の国際フレームワークや基準開発に参画。財務会計基準機構サステナビリティ基準委員会委員、JICPA企業情報開示委員会委員長、IFRS財団IRCCメンバー等を務める。
はじめに:開示制度の「背景」と「本質」に立ち返る

講演冒頭、森氏は自身のこれまでの経験として、統合報告の黎明期から気候関連開示の国際基準構築に携わってきた経緯を紹介し、開示制度がなぜ今求められているのかについて解説しました。従来のCSRとは異なり、開示制度は投資家の意思決定や企業の戦略に直接関係するものであり、その根底には気候変動をはじめとするシステミックリスクへの対応があると述べました。
「私自身、この15年ほど統合報告や気候関連開示に関わってきた中で、開示とは単なる情報の整理ではなく、企業の本質的な戦略とどう接続するかが常に問われてきた」と語り、制度や基準がどのような意図で設計されているのかを知ることの重要性を強調しました。
