ESG 大転換機!米国の潮目変化×EU新潮流 「Booostカンファレンス」開催レポート③ パネルディスカッション
目次
連載最終回となる第3回では、カンファレンスの締めくくりとして行われたパネルディスカッション「SSBJ基準確定 ― 情報開示を超えて、企業価値向上への実践へ」をお届けします。
EY Japan株式会社 アジア太平洋ESG・サステナビリティソリューションリーダー/気候変動・サステナビリティサービス 日本地域リーダーの牛島氏、公認会計士 森氏、Booost CEO 青井の3名が登壇。
サステナビリティ開示基準の確定を受け、企業がどのように「情報開示の先」――すなわち企業価値向上の実践へと踏み出していくべきかを、多角的な視点から議論しました。
パネルディスカッション
統合思考の浸透に向けて
~情報開示を超えて企業価値向上の実践へ~
登壇者

EY Japan株式会社
アジア太平洋 ESG・サステナビリティソリューションリーダー
気候変動・サステナビリティサービス 日本地域リーダー 牛島 慶一氏
2013年EY入所、2014年よりEYのサステナリビティ関連サービス(Climate Change and Sustainability Services)日本地区リーダー。ESGやサステナビリティの経営統合、ビジネスと人権、インパクト会計を中心に、企業へのサポートを行う。東北大学大学院非常勤講師、環境省中央環境審議会カーボンプライシングの活用に関する小委員会委員を歴任。現在、一般社団法人 ESG 情報開示研究会理事、企業と社会フォーラム(JFBS)理事、東京財団政策研究所CSRワーキンググループメンバーを務める。

公認会計士 森 洋一氏
監査法人にて財諸諸表監査、ガバナンス構築、サステナビリティ関連業務を経験。その後、企業開示、サステナビリティ戦略支援、GHG排出削減等に従事。IIRC、CDSB等のメンバーとして、開示・保証の国際フレームワークや基準開発に参画。財務会計基準機構サステナビリティ基準委員会委員、JICPA企業情報開示委員会委員長、IFRS財団IRCCメンバー等を務める。

Booost株式会社
代表取締役 青井宏憲
2010年よりコンサルティングファームで、スマートエネルギービジネス領域を管掌し、スマートエネルギー全般のコンサルティング経験が豊富。2010年よりこの業界で知見を積み、創エネ、省エネ、エネルギーマネジメントに精通。2015年4月、booost technologies株式会社を設立。Sustainability ERPをローンチし、時価総額5,000億以上のエンタープライズ上場企業を中心に、85ヶ国以上、約2,000社192,000拠点以上(2025年2月時点)の導入を推進。サステナビリティ関連財務情報開示全般の深い知見を持つ。Green×Digital Consortium運営委員。
はじめに:SSBJ基準確定 情報開示を超えて企業価値向上の実践へ
パネルディスカッションには、SSBJ基準の確定を受けた企業の実践的な取り組みと今後の方向性について議論が交わされました。
冒頭、牛島氏は「開示規制への対応を単なるコンプライアンスにとどめるのではなく、いかに企業価値の向上へとつなげていけるのかが問われている」と提起しました。
欧州や米国の制度動向を踏まえ、足元の変化を“逆風”と見る向きもある一方で、今こそ冷静に本質を見極める必要があると論じました。
いわゆるトランプ2.0の影響やオムニバス法案の緩和等制度対応がやや後退しているように見える中でも、企業としては長期的な視点で自社の変革を進めるチャンスであり、むしろ「今が取り組むべきタイミング」であるとの認識を共有しました。
