SSBJ対応の全体像と考え方=実務を見据えた整理=

サステナビリティ関連財務情報の開示が企業にとって不可避のテーマとなる中、SSBJ対応は「制度を理解する」段階から、「実務としてどう運用するか」を考える段階へと移りつつあります。

本記事では、SSBJが公表しているハンドブック等の公式資料も踏まえながら、企業がSSBJ対応をどのような全体像で捉え、どのような考え方で実務を整理すべきかを整理します。

個別の対応手順ではなく、検討の土台となる視点を整理します。

SSBJハンドブックの位置づけ──実務検討を支える参考資料

SSBJハンドブックは、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)の事務局が、SSBJ基準に基づく開示実務を支援するために作成した解説資料です。審議を経て正式に承認された文書ではなく、基準の構成要素でもありませんが、それがかえってメリットとなっています。

変化の早い実務ニーズに迅速に応え、現場で求められる情報にフォーカスして作成されているため、実務担当者が今、知りたいことに的確にアプローチできる内容です。

SSBJハンドブックを利用する3つのメリット

以下では、SSBJ対応の全体像を考えるうえで、ハンドブックがどのような補助線を与えてくれるのかを整理します。

1. 制度運用の“解釈の揺らぎ”を埋めてくれる

SSBJ基準は国際整合性を持ちながらも、日本の制度環境に対応する必要があります。しかし実際の開示作業においてはどう捉えるべきか?と迷うポイントが多いのも事実です。ハンドブックは、例えばバリューチェーンの範囲の考え方や、GHG排出量の集計基準、開示期間の不一致にどう対応するかといった、グレーゾーンの解釈を補足しており、実務の精度を高めます。

2. 優先度の高い論点をピンポイントでカバー

SSBJハンドブックは、利用者からの質問や困りごとを事務局が吸い上げ、優先順位をつけて随時発行されます。2025年3月から月次で公表されており、各号で取り上げるテーマはGHG、スコープ3、産業別指標、カーボンクレジット、内部炭素価格など、ホットな論点に特化しています。実務上の課題に素早く対応でき、制度に振り回されることなく、必要な判断が可能になります。

3. 制度に準拠しながら、柔軟な運用を可能にする

ハンドブックの記載に従う義務はありません。むしろそれがメリットです。あくまで判断の参考として自由度を担保しつつ、基準への準拠を損なわずに制度運用が可能となります。これは、開示義務が拡大し、実務負荷が高まる企業にとって、対応に幅を持たせられるという安心材料になります。

活用のコツと注意点

以下は、SSBJ対応を検討する過程で、ハンドブックを参考資料として使う際の留意点です。

  • 最新版の確認が重要
    内容は予告なく更新されるため、「SSBJハンドブック総覧」を常にチェックする必要があります。
  • 基準との整合を意識する
    ハンドブックはあくまで補助資料です。制度文書と合わせて読むことが前提となります。
  • 社内教育やチェックリストにも活用可能
    現場の理解を促す研修資料、レビュー項目作成にも最適な内容となっています。

まとめ──「迷わず進める実務」への最短ルート

SSBJハンドブックは、基準を理解するための副読本というよりも、SSBJ対応を実務として検討する際の参考資料の一つとして位置づけるのが適切です。

重要なのは、特定の資料に依存することではなく、それらを踏まえたうえで、自社としてどのような対応の全体像を描くかという視点です。

SSBJ対応を迷いながら進める実務にしないためにも、この全体像を踏まえたうえで、自社として何をどう検討すべきかは、次のフェーズで整理していくことになります。

出典

SSBJ SSBJハンドブック 総覧一覧(SSBJ公式サイト)

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