企業価値向上のための“攻め”のサステナビリティ経営「Booostカンファレンス」開催レポート③ パネルディスカッション&基調講演(2)一橋大学 野間教授
目次
トランジション期における 変革と投資の最前線

パネルディスカッション「トランジション期における変革と投資の最前線」
登壇者

アセットマネジメントOne株式会社
運用本部リサーチ・エンゲージメント部
エグゼクティブESG アドバイザー寺沢 徹 氏
1988 年富士銀行( 現みずほ銀行) 入行。金利デリバティブ、証券化商品投資、ALM(Asset Liability Management)など幅広く市場部門業務やカストディ業務に従事。2015 年よりみずほ投信投資顧問(現アセットマネジメントOne)運用企画部長。2016 年10 月アセットマネジメントOne責任投資部長を務め2022 年よりエグゼクティブESG アドバイザー。 経済産業省「伊藤レポート3.0」など各種委員、人的資本経営コンソーシアム企画委員・TCFD コンソーシアム企画委員等を歴任。ジャパン・スチュワードシップ・イニシアティブ運営委員長。

ボストン コンサルティング グループ (BCG)
マネージング・ディレクター シニア・パートナー気候変動・サステナビリティグループ 日本リーダー
半谷 陽一 氏
三菱重工業株式会社を経て2015年にBCGに入社。BCG気候変動・サステナビリティグループの日本リーダー 、および産業財・自動車グループ、コーポレートファイナンス&ストラテジーグループのコアメンバー。中長期戦略策定と実行、事業プロセスと組織設計、営業改革、事業分割や企業合弁および新会社の事業計画策定と立上げなどのプロジェクトを手掛けている。

Booost株式会社
取締役 COO 大我 猛
元SAP 常務執行役員 チーフ・トランスフォーメーション・オフィサー。1997年、日本オラクルに入社。ITコンサルティングおよび経営企画に従事。その後、コンサルティングファームにてM&Aによる企業統合コンサルティングを担当。2008年に世界最大級のB2Bソフトウェア企業であるSAPに入社。チーフ・カスタマー・オフィサー、デジタルエコシステム統括本部長などを歴任して、2020年に常務執行役員 チーフ・トランスフォーメーション・オフィサーに就任。大企業とスタートアップの共創事業、サステナビリティソリューション事業など複数の新規事業を立ち上げて統括。2023年1月、Booostの取締役 COOに就任。
「攻めのサステナビリティ」とは何か


今回は「攻めのサステナビリティ経営」をテーマに、トランジション期の変革と投資の最前線について半谷さんと寺沢さんとお話していきます。まず、半谷さんは“攻めのサステナビリティ”をどのように捉えていますか?

単なるリスク対応ではなく、マーケットの変化そのものを自ら設計する姿勢だと思います。これまでのようにグローバルが一枚岩で動く時代は終わり、地政学やエネルギー、デジタルの要素が複雑に交差しています。だからこそ「どの市場で、誰と組み、どんなエコシステムをつくるか」。その選択を描ける企業こそが“攻めている”と言えますね。

なるほど。変化に“対応する”ではなく、“変化をつくる側に回る”ということですね。寺沢さんは、投資家の立場からどのように“攻めのサステナビリティ”を見ていますか?

リスクと機会は表裏一体です。たとえば人権や気候変動といったテーマは、守りに見えて、実は成長の起点にもなります。重要なのは、企業がそれをどう経営のチャンスに変えているかです。開示は「義務」ではなく、「経営の姿勢を示すプレゼンテーション」なのです。どれだけ本気で変革に向き合っているかが伝わる企業ほど、投資家の信頼を得やすいと思います。
